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93-親子 [キング-10]

子ども達の作業は順調に進んでいるようだ、私達の常識を遥かに超えた次元で。
ただ、高速の宇宙船に改造されたという居住コロニーの中は改造される前とあまり変わっていない。
野菜畑が花壇になってはいるが。
今日はセブンが見に行っている。

「翔、高速船は何時発進するんだ。」
「父さん、発進も何も、とっくに改造を終えてもうすぐ惑星の衛星軌道に乗せるよ。」
「う~ん、どうなってるのかさっぱり分からないな。」
「モニターに出すね、この円が惑星、僕らの高速船はこの点、コロニーはこっちの点の集まりなんだ。」
「ゲートで行き来してるから離れていても何も感じてなかったという事か。」
「僕らもマリアさまに教えて貰わなかったら分かってないよ。」
「操縦とかは誰が?」
「聡がやってる、操縦と言ってもハンドルを握ってる訳じゃないけど。」
「だろうな、うちの三男も活躍してくれてて嬉しいよ。」
「ねえ、父さん達にとって僕ら城の子ってどうなのかな?」
「どうって?」
「僕は父さんと母さんの子だけどマリアさまの子でも有るのでしょ、僕は人間かというと少し違うみたいだからさ。」
「そんな事はどうでも良いじゃないか、私達がキングの元に集まった頃の話はしたろ、あの頃は不安ばかりだった、でもな…、お前が生まれてくれてどんなに嬉しかった事か、城の大人達にとっても長男だったからな。
キングなんか涙を流して…、はは、皆だよ城の大人達はお前に希望の光を見ていたんだ。
それは子ども達が成長してからも変わってない、まあ能力的には随分追い越されてしまったが、翔には私達とは違った使命が有ると考えている。
正直マリアさまが絶対に正しいのかどうかは分からない、だが、城の子達がこの世界の人達の為に行っている事は間違ってないと思っている。
親としての私は頼りないかもしれないが、これからも微力だろうが支えさせて貰うよ。」
「うん、有難う、なんかすっきりしたよ、マリアさまは僕たちを生み出す為に父さん達を集めたのかもしれない、でも僕達も次の存在を生み出すための繋ぎに過ぎないのかもと考えていたんだ。」
「そうか、それはそれで光栄じゃないか、少なくとも私は翔という息子を持てて光栄だがな。」
「うん、まずはこれから降り立つ惑星を素敵な星にしないとね。」
「頼んだぞ。」

セブンから話を聞いて私達はそれぞれの感傷に浸った。
神の子と呼ばれる子ども達もまた悩みを持つ年頃になっていたのだと知り。
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