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95-今後 [キング-10]

惑星への到着を前に尊と演説を行った。
これは一方的な布告とも言える、世界の人達に反論の余地がなかったからだ。

「新たな大地での新しい街の広がりと共に、居住コロニーは順次マリアさまにお返しする事になります。
それぞれの国のメインとなっていたコロニーも同様です。
今までとは違い四季が有りますが、地震も台風も有ります、調整し極力被害の少ないレベルまで抑えようとはしていますが完全には出来ません。
ただ、広大な大地が無限の可能性を秘め、我々の前に有る事を感じて下さい。」

「今までは十五の国という形をとって来ました、ですが人種は違えど同じ人類として、この新たなる大地に国境は必要ないと考えています。
すでに様々な形で協力し合って来た皆さんには言うまでもない事かもしれませんが、我々は全員が協力して一つの町を作る所から始めます。
まだ過去のわだかまりや誤解を残している人がいるかもしれませんが、この機会に考えて頂きたいたいです。
一つの星に争いの無い一つの国、天災は起こるかもしれないが、楽園を作り出せないかと。」

一つの町から始まる、今更小さな国に分かれる必要はなかった。
そして惑星へ降り立つ前夜、尊が城の大人達に話し始めた。

「落ち着いたら、この惑星の政治は僕らで相談して決めた人にお任せしようと思っています。」
「そうだな選挙をするより適材適所に出来るだろう、次の世代からは彼等が相談すれば良いな。」
「私達はお役御免になって何をすれば良いのだ?」
「弟や妹の世話と和の国本島の維持管理をお願いしたいです。」
「コロニーはマリアさまにお返しするのでは?」
「それは表向きで、実際は色々な物を作る為の原材料として僕らが使います。」
「新たな国家の為なんだな。」
「一時的には開拓地の為に使いますが、最終的にマリアさまのテクノロジーを利用した物はゲートなど一部だけになります。」
「必要な物は自分達で作れという事か。」
「はい、その手助けはさせて貰いますが。」
「そうすると、翔たちは何を作るんだ?」
「和の国本島を高速船に改造します、それと新たに高速船を幾つか。」
「宇宙旅行を続けるのね。」
「はい、この辺りで人が住めるように改造出来そうな惑星がないか探します。
これからは改造に時間を掛ける事が出来ますから多少条件が悪くても、ここから近い所で見つかれば改造後にゲートで行き来出来るようにします。
遠ければ新しい国の人達が宇宙船を作れるまで僕らが輸送する事になると思います。」
「行政は委ねても見守り続けるという訳だな。」
「はい、当分新たな大地は必要ないでしょうが、土地に余裕が有ると分っていれば争いも起きにくいかと。」
「この惑星では人の住みにくい所まで開発する必要もないということか。」
「貴重な資源が見つからない限りはそうなります。」

城の大人達は少し戸惑っていた、惑星が自分達にとっても安住の地になると思っていたからだ。
ただ開拓団の一員になれない理由はなんとなく分かっている。
城の大人達もまた特別な存在、私達の外見も体力も八人が出会った頃とほとんど変わっていないのだ。
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