初顔合わせの日。
初めて直に顔を合わせるというのはやはり緊張する。
対面後、すぐに記憶のプロテクトが弱まり始めたのか表情をこわばらせる訪問者に支援の食料を渡し再会を約束して見送るという流れは無事済んだ。
拍子抜けするぐらい簡単に。

「ちょっと心配し過ぎだったのかしら。」
「安心するのはまだ早いと思う、問題はこれからだろ。」
「そうよね、彼等が記憶を蘇らせる苦しみの中で、今後の国家間の話をして行く、今までの五カ国とは基礎になる条件が違い過ぎるから、今まで私達が経験して来なかったトラブルが起こるかも。」
「キング、担当はどうするの?」
「なあ…、あの国の大人は三十一人じゃなかったか?」
「ええ。」
「データ画面を見てみろ、三十人に…、減った。」
「このタイミングで一人死んだってか?」
「彼等に蘇りつつ有る記憶が人の死に繋がるって事?」
「向こうのリーダーとの連絡は?」
「コールしてみるよ。」
「予測していた宗派の違いによる対立だと厳しいかもな、現に死者が出ているみたいだし。」
「セブン、対面時にガードをお願いしていたメンバーを念の為、ゲート前に集めてくれるか。」
「了解。」
「ロック、向こうから避難してくる可能性が有る、受け入れ準備をしてくれるか。」
「分かった、人を集めるよ。」
「あっ、大人が二十九人になったわ。」
「三之助、他の国へ緊急連絡、状況を説明して応援を要請してくれるか。」
「ええ、すぐに。」
「キング、向こうのリーダーが出たわよ。」

彼の国のリーダーは顔をこわばらせながら、過去に対立していた三つのグループメンバーが殺し合いを始めたと、そして子ども達だけでもゲートを通してくれないかと話した。
それに対して、リーダーも含め殺し合いに参加する意思の無い者全員を受け入れると伝え、ゲートの操作を始める。
向こう側は全開放にし、こちらで受け入れ制限を調整する、子ども全員を通行可にした後大人達は連絡を取り合いながら名簿から選択。
後は待つしかない。