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55-ゲート [キング-06]

ゲート前に檻を設置した後、ゲートを開放し石を投げ込んだ。
その合図に対し三人が檻に入って来た。
各国からの応援も含め大勢に取り囲まれ困惑の表情。

「君達はこの世界でどうしたい、殺し合って死にたいのか?」
『い、いや、俺達は殺し合いの場から逃げた。』
「この檻の意味は分かっているのか?」
『ああ、こんな狭い世界で殺し合ってる連中と同類だと思われても仕方ない状況だからな。』
「子どもは?」
『消えてしまった、だからもう何の希望もない。』
「子どもが生きていたら、子どもの為に過去を忘れて働けるか?」
『過去のろくでもない記憶なんていらなかったよ。』
「分かった、今日はここで子どもと過ごせ。」

子どもと再会し食事を振る舞われた男達から危険を感じる事はなかった。

「残ってる連中は夕方になれば全員居住コロニーに戻る、夜の間に向こうのリーダーとゲートの設定を変更しに行く。」
「キング、危険はないのか?」
「大丈夫だろう、直接会う訳でもないからな。」
「念のためにガードとしてついていくよ。」

十八時を過ぎてから六人でゲートをくぐる。
夕日に照らされる風景は随分殺風景で、食料が不足気味とのデータも納得出来る。
国民は全員居住コロニーに戻った様で静かだ。
リーダーの家までは一分も掛からなかった。
家主がドアを開けようとした瞬間、ガード役が止めた。

「待て、トラップの可能性を否定出来るか。」
「残っていたのは、リーダーと敵対していたグループだと聞いてる、トラップによる殺人の罰が仕掛けた人物に振り掛かるかどうか分からないな。」

ガード役の判断は正しかった。
リーダーの部屋に入るまで幾つかのトラップを取り除くのに時間が掛かってしまったが、何とか当初の目的、残る八名を居住コロニーへ閉じ込める事に成功、後はこの国のリーダーの役目だ。
彼はテレビ電話を通して個別に話し合いの場を持ったが良い結果は得られなかった。
翌日以降の課題とし我々は一旦和の国へ戻る事にした。
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