しばらく落ち着かない日々が続いている。
スオミに続いて国名をミュンヘンとしたドイツの人達、同じくコペンハーゲンとしたデンマークの人達、ボルドーとしたフランスの人達との国交が始まったからだ。

「ようやく予告が途切れたわね。」
「ここまでヨーロッパばかりだけど、他の地域はどうなのかしら。」
「管理者はなぜか八にこだわってるだろ、八人のコロニーが八つ集まって一つの国、という事はあと二か国の参加でこの世界は完成という事にならないか?」
「マリアはそれを否定しなかったが、違った出会いも有るだろうと話していた。」
「意味深ね、でもまずは今の世界を安定させないとね。」
「国連への参加に前向きな人達ばかりだから大丈夫でしょ、今日の会議でも特に問題はなかったわ。」
「でも、スコットランドから出た、英語を共通言語にとの発言には反発が強かったな、翻訳機が有るからと。」
「翻訳機の精度の高さは各国とも把握してるからね、誰しも母国語を愛している、自分が理解できる言語で有っても他国の言語を特別な言語にしたくないわよね、前の世界では英語を使っている国の力が強かったけどここではそれ程でもない。」
「でも携帯型の翻訳機は数に限りが有るから…、一つの国に八台だろ。」
「現時点で唯一の問題かな、それ以外、国連内でのルールに関しては、小さな修正ぐらいで特に問題なかったわね。」
「今までスコットランドと随分時間を掛けて意見交換をしながら作って来た成果だな。」
「国連の正式スタートに向けては何か儀式的な事をするの?」
「ルールを守りますって、指切りでも良いとは思うが。」
「明日の会議で決定したいわね、えっと、プリントアウトしたルールブックの表紙に守る事を誓うと各リーダーが署名するって、どう?」
「六冊用意する訳だな、それぞれの言語で。」
「後になって解釈がどうこうとならなきゃ良いけど。」
「早い内に国民レベルでの友好を深めて揉め事を回避したいね。」
「麗子はボルドーの人達とどう?」
「フランス語はかつてフランス料理を研究してた頃に少しかじってるし、ふふ、料理は認めて頂けたわ、レストランの手伝いもして下さるそうよ。」
「キング、夜に外国の一般人を招く事は難しいのか?」
「いや、両国で話がまとまれば我が国の国民と同じ条件に出来る、ただ、しばらく様子を見てからにしたいと思っている、まだ、どんな問題が有るか見えてないだろ。」
「焦らずに各国の状況を見極めながらで良いと思うわ、ねえ、デンマーク語なんて初めて耳にしたけど、セブンはどう?」
「ああ、言葉には少しづつ馴染んでる、コペンハーゲンの人達も友好的だよ。」
「スコットランドとの様な相互協力は他の国々とも出来そうだな、どの国も余裕が有るから今の所物々交換に問題はなさそうだ、このまま金を必要としない社会が成立するのならそれも良いが。」
「人口が増えた時が問題だろうな、土地の私的所有とか、今のまま限りある国土なのかどうか…、キング、マリアさまはその辺りの事何か話してくれたか?」
「子ども達の成長を待つとの事だ。」
「子ども達か…、子ども達こそがこの世界のほんとの住人なのかもね。」
「国連を成功させないとな。」