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41-共通言語 [キング-05]

我々はスコットランド国民を招待し、もてなしている。
来客達は食事と音楽を喜んでくれた。
だが、ささやかに始まった国際交流の合間に微妙な問題が提起された。

「英語を世界共通語にしたいと提案されたが、どう思う?」
「こちらの国民全員が英語を話せる訳でもないし。」
「昔、全世界の人が英語を理解できると思ってるアメリカ人に辟易した経験が有るが。」
「子ども達に教えて行く事は可能よ、でもね…。」
「私達の星には実に多くの言語が存在していた、歴史を考えたら仕方のない事だったのだろうけど、不便で非効率だったよね、誤解も生まれたろうし。」
「世界に一つの言語の方が効率が良いのは分かるが、日本語の使用をやめて欲しいと言われてもな。」
「文化の問題も有るわね、まあ、こちらが日本語で会話していたら向こうは翻訳機を使わないと理解出来ない、だがこちらにはそういった制約がない、若干不公平に感じているのかも。」
「極力彼等の前では日本語を使わないという事で良いだろ。」
「次に交流出来る国の言語が翻訳機に頼るしかないのか、英語で済むのかにもよるわ。」
「統一言語を一つ決めておく事は悪い事ではないが、国が増えたら揉めそうだな。」
「そうよね、過去に揉めてた国同士との国交が成立したら宗教対立の可能性も有って、共通言語どころの話ではないわよね。」
「国際法を考えなくてはいけないのかな、共通言語の話はしばらく保留にせざるを得ないと思う。」
「後から加わって来る国は成長が遅いって事よね、こちらが気を使ってあげないと嫌な世界になりかねないわ。」
「国連を先に作っておくか?」
「そうね、言語の問題もそこで…、ねえキング、次に国交が成立する国の情報はないの?」
「まだ何も聞かされてない。」
「例えば、私達とは別に国家の集合体が形成されてから、交流という事は?」
「マリアに確認したがそれはないそうだ、そんなことになったら大変だろ。」
「始めから二大陣営が対立という図式でなければ少し安心だが、他の国々はどうなっているのかな?」
「発展に手間取っているとは聞いている。」
「ねえ、生産余剰分だけど、そういった国々の住人の為に使われてる可能性はどうかしら。」
「あっ、そうか…。」
「二つの意味で生産拡大を考えるべきかも、一つはまだ見ぬ国の住人達の為、もう一つは新たな隣人を得た時、食料支援が出来る様に。」
「余力は充分過ぎるほどに有るな。」
「もう一つ意味が有るぞ、子ども達が食べ盛りになっても余裕が有る状態にしておく必要も有るだろ。」
「はは、そうだな、作り過ぎた分がゴミになっていない事を祈ってとりあえず増産体制を検討するか。」

食料生産の計画を見直す事になる。
国民からの反発はなかった。
スコットランドも賛同、無理の無い範囲で食料生産計画を変更してくれた。
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