小学校では、株式会社桜総合学園芸能部所属の若者達が、地元サークルの方々と。

「まずは桜総合学園芸能部の紹介をさせて下さい。
私達の芸能部にはバイオリンの滝沢桜子や橋本裕子が所属しています。
所謂芸能事務所とお考え下さい、株式会社桜総合学園制作部と同様、株式会社桜根の傘下です。
私達はまだ未熟ですが、チーム桜の活動に貢献出来るようがんばっていますのでよろしくお願いします。」
「私達は、この地区のサークルで活動しています、今回はチーム姥桜として若い子達と楽しませて頂いております。」
「まずは一曲どうぞ。」
地元のコーラスサークルと学生による混成の混声四部合唱に始まり、色々なパフォーマンスが披露された。
ずいぶん年の差のあるコラボを、チーム姥桜のメンバーは楽しんだ様だ。
その後。

「ここからしばらくはクラシック音楽を演奏させて頂きます。
正直申しまして私達の力量は皆さんがCDで聴いておられる様な名演奏家の足元にも及ばないだけでなく、一流の音大生と比べても劣ります。
でも、動植物園での活動、それによって増やして頂けたお客様を前にしての演奏機会を通して、また違った活動を考えております。
まずはベートーベンの主題による変奏曲です、よろしくお願します。」

誰しもが聴いたことの有るメロディー、それがふと気付くと全く違う曲になってる、そこに色々工夫がなされていて楽しい曲となっていた。
聴衆からは大きな拍手。

「有難う御座いました、私達芸能部の事をもう少し話させて下さい。
今は、色々な分野で上を目指そうと思うと東京へ行かないと難しい面が有ります、もちろん地方でがんばってらっしゃる方もみえますが、地方ではハンデが有ると思います。
芸術を始め色々な分野の中心が東京に一極集中しているのが現状です。
人もお金も東京に集まってしまっていますから、地方がさらに弱くなってしまう、この現状に対抗して行く事も桜総合学園芸能部の目標です。
まず名古屋の文化レベルを上げ、それから各地方で活躍してらっしゃる方と手を取り合ってと考えております。
その第一歩として地元演奏家の演奏する機会を増やして行こうと考えています。
皆さんご存じの通り、滝沢桜子中心の演奏会は三公演ともチケット完売となりましたので、追加公演やまだマイナーな私どもの演奏会なども企画させて頂いております。
よろしくお願いします。」

沸き起こる拍手。
「がんばれよ~!」
「応援してるぞ!」
「君達の演奏会なら行くよ~!」

スピーチをしたチェリストは少し涙ぐみながら。
「有難う御座います、次の曲はサンサーンスの白鳥みたいな曲です。」

演奏は聴き慣れた静かな曲ではなくずいぶん元気に始まる。
その演奏に合わせコミカルに踊りだしたのは、白い衣装でないところを見ると白鳥の子をイメージしている様だ。
曲も白鳥とは全く違う曲に変化したりしながら…、踊り手も変わったりしながら…、最後は聴き慣れたゆったりとした演奏で終わる。

大きな拍手。
演奏家が変わり、次の演奏へ。
前の演奏に負けまいと皆真剣だ。
練習も大切だが、客を前にした本番を経験することの意味は大きい。
この一年近くの間、動植物園などでは、時に数名の客の前で演奏した事もあった。
だがその活動を通してホールでの演奏会に足を運ぶ人が増え、演奏会の回数を増やす事に繋がった。
そんな中から、ベートーベンの主題による変奏曲やサンサーンスの白鳥みたいな曲が生まれてきたのは、遠藤社長からの付加価値を見つけるという言葉による。
歌が下手で、さほど美少女でなくてもアイドルと名乗っていれば、何となくファンが出来る世の中。
色々工夫してクラシック音楽に興味のなかった人にアピールして行くのも面白いのではということだ。
もちろん彼等にも葛藤は有る、演奏をする者としては大作曲家の曲をきちんと演奏して評価を得たいのは当たり前だ。
だが、まだそこまでのレベルにはないと自覚してる。
彼等なりの挑戦は少しずつ形になり始めた所だ。