梅の花が、まだ冷たさを残す風に揺さぶられる。
まだ寒いが、確実に春へ向かっている事は間違いない。



梅林では学生とおぼしきカップルが…。

「う~ん、動物園は子どもの頃から何度も来ていたけど、ここの梅は初めてだよ。」
「健くんは地元だから、やっぱ遠足とかで来てたの?」
「ああ、結構近いから遠足じゃなく来たこともあるし、ちっちゃい頃も親に連れて来てもらってた、はは覚えてないけど写真が残ってるからね…、さよりは来たことあった?」
「おじいちゃん家がこっちの方だから、夏休みに遊びに来た時とかに連れてきてもらったな~、楽しかった。」
「そっか、だからボランティアに誘ってくれたの?」
「うん…、でも募集案内見てて思ったの、施設の老朽化って…、私が子どもの頃でも充分古かったなぁ~って。」
「確かにそうだ。」
「トイレとか随分綺麗になったけど…、工事もしてたわね。」
「ああいう本格的な工事はボランティアの役割じゃないよな。」
「ええ、でも色々やることがあるみたい…、動植物園が求めていること、それに対して自分が出来ることに自分で気付き、実行できる人になって欲しいって…、ふふ、そうね単に大変だからボランティアで手伝って下さいって感じじゃなくて、私たちにとっての成長の場として欲しいって言葉は、なんか新鮮だったわ。」
「たしかにそうだ、俺は社会学部じゃん。」
「ふふ、めっちゃ範囲が広くて、何でもありな学部なんでしょ。」
「まあ、そうなんだけど一年近くやって来てさ、社会学って何だろうって考えることもあって。」
「うん。」
「まあ、単純に人が集団となって社会を形成した時、その社会を構成する面々には色々な…、え~っと力関係だったり…、利害関係もあるけど…、それだけじゃない、え~っと心のことがあったり。」
「ふふ、確かに範囲広いわね。」
「まだ、自分も経験不足で何にも分からないけど…、ただ新たな組織のスタートから参加して色々考えることってすごく面白そうに思えた。」
「そうよね、大変なこともあるかもしれないけど…。」


チョコ屋
canrich キャンリッチ