パッコ~ン。
パッコ~ン。

テニスコートには球を打ち合う音が響き渡る。

(高雄ってほんとにうまいなぁ~、バックハンドの練習したいって言ったら全部バックへ返してくれて。)

パッコ~ン。

(里香もうまくなったな、そろそろ左右にふってくかな。)

パッコ~ン。
パッコ~ン。
パッコ~ン。

(あっ、ふり始めたのね、これからがトレーニングの本番ね。)

パッコ~ン。

(里香、いいぞ。)

パッコ~ン。

(高雄の練習にもなるように目一杯左右に返さなきゃね。)

パッコ~ン。

(おっ、良いのが返ってきた、油断してたらやられるな。)

パッコ~ン。

(あれを簡単に返してくれちゃうのよね。)

パッコ~ン。

(里香って…。)

パッコ~ン…。

「ふ~、ねえ高雄、休憩にしない?」
「うん、そうだな、ずいぶん続けたから。」

汗を拭きながら。

「あのさ。」「ねえ。」

二人同時に声をあげる。

「ふふ、お先にどうぞ。」
「真面目な大切な話しがあるんだけど。」
「私もよ。」