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河川敷にて [短編集-1]

「うふ、かわいいお花がいっぱいね。」
「えっ? 聡子、花なんて…。」

きちんと整備された河川敷を散歩する二人、遠くにツツジの花が見えるが、今歩いているところに目だった花はない。

「徹の目はふしあなかな~。」
「えっ?」
「しゃがむと気付くかも。」
「う、うん…、あっ、小さな花が、あ~色んな花が咲いてる…、全然気付かなかった…。」
「小さくてもかわいくて綺麗でしょ。」
「うん。」

「私も始めて気付いた時はびっくりしたのよ、小学校の教師になりたての頃かな、自然観察ってな感じの授業を企画してね、何気に何種類のお花が見つかるかな~、なんて感じでここに子ども達と一緒にきたの。
ほんとはねタンポポとか人の目に付く花しかイメージしていなかったんだけどね、子ども達は、先生かわいい花を見つけたわ、とか、これも花だよね?って感じて、すごく沢山の花を私に見せてくれたの。
堤防の上はたまに通っていたから、この河川敷は普通に見てたけど、まさかこんなに沢山の花が咲いているとは思ってもいなくて。」
「うん、俺もそうだよ、この上の堤防道路はよく使うからな。」
「そうなんだ。」
「え~と。」
「何?」
「あのさ、ちっぽけな俺だけど、俺なりに真面目に仕事してるんだ。」
「わかってるわよ。」
「こんな俺でも良かったらさ…。」
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