「でもね。」

唐突にそんな声が後ろから聞こえる。
何時からいたのか、実直そうな若者が後ろの席から声をかけてきたのだ。
先客がその若者に応える。
「でも?」
「あきらめてる者ばかりじゃないんですよ。
おっしゃる通りの現状なのですが…。」
私には彼が少しまぶしかった。
あきらめてる者とはまさに自分のことだと感じたからだ。
と、同時に多くの疑問も湧き上がる。
宗教関係? それとも…、色々邪推してる自分がいた。