初秋の、とある山村。
杉の大木が村を眺めていた。

この村もずいぶん寂れてしまったものじゃ。
元々大きな村じゃなかったがの。
それでも昔は祭りがあったり、まぁ若者たちが時に羽目を外すなんてこともあったが、それなりに活気があった。
それが今じゃ年寄りばかり、朽ちかけた家もあちこちにあって…。
おや見慣れぬ若者たちが来たな。

「立派な杉ね、慶次。」
「うん…、昔は村のシンボルだったのかな。」
「今でもシンボルなんじゃない、もっとも村の方がぼろぼろみたいだけど。」
「だな。」
「ここにするの?」
「悪くないな、この大杉は俺たちを見守ってくれる、そんな気がしてる、真帆はどう思う?」
「そうね、慶次が話していた寂れた村そのものだけど、ここに大きな杉の木があるということは大きな意味があると思うわ、色々な意味でね。」
「はは、寄らば大樹の陰ってことだな。」

おや、この二人…、わしに寄っかかりよって…。
そう言えば、こうしてわしに甘える若者…、ずいぶん久しぶりじゃな。





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