ふふ、猫洞堂って何なんだ~ってお方のために、私が普段何してるのか教えてあげるね。

出勤したら、まず「にくきゅうスタンプ」を出勤簿に押して、その後は社長のご飯の準備。
慣れない頃は失敗もあったけど、最近はずっと社長に満足していただけてるみたい。
ただね~、社長がメタボとかになっちゃったらって思うけど…、専務は気にしなくて良いよ、っていつも言ってる。
ほんとに大丈夫なのかな、専務が社長の座を狙っているのかどうかは、私には分かんないけどね。

社長のご飯が済んだらお店のお掃除。
業務部長からは、毎日掃除して綺麗にしておいて下さいね、って言われてるし、商品のアンティーク家具とかに埃がかぶってたら、わたし的にも嫌だから真面目にやってるわ。
ただね、未だに商品が売れる瞬間を見たことはないの、商品は減ったり増えたりしてるけどね。
ちょっと不思議だなぁ~。

掃除が終わると、お買い物、社員のみなさんからの注文を受けて買出しってとこかな。
坂を下りたとこにスーパーがあってね。
ふふ、量が多い時はバイトの遼君が猫洞堂まで運ぶの手伝ってくれるの…。

----------

「遼君いつもありがとうね。」
「いえいえ由香里さんのためなら何でもありませんよ、でもこんなに買い込んで猫洞堂にはいったい何人いるんですか?」
「う~ん、難しい質問ね…、実は私もよく分かってないの、お店はこじんまりしてるけど奥はね…。」
「広いんですか?」
「うん…。」
「なんか変わったお店ですよね。」
「ふふ、社長は黒猫さんだし。」
「はは、遊び心いっぱいなんですね。」
「あら、腹ペコ社員が待ちきれなくなったみたい。」

「由香里さ~ん、もう待てません~俺のランチお願いしま~す。」
「はいはいシャケ弁当だったわね、はいどうぞ、でもついでに皆さんの分も運んで下さいね。」
「了解です、じゃあ先に戻ります。」

「遼君ありがとうね、じゃあまたね。」
「は、はい…、もっと由香里さんと話したかったのにな…。」
「ふふ。」