「ねえ白川さんてさ不思議な人だと思わない?」

春田真紀が片桐美帆に話かける。
二人はLentoという店でバイトをしている大学3年生。
白川とはこの店のオーナーのこと。

「そうね、うちの親より年上って聞いてるけど、ぜんぜんそんな風に見えないし、白川さんから大学の方はどう? って訊かれると、ついつい色々近況報告しちゃうのよね、なんかお兄さんに話してる感じでさ。」
「聞き上手よね。」
「うん、で色々聞いて下さった後で必ず、色んな経験をして素敵な女性になって下さいね、だからな~。」
「口癖かしらね。」
「でも、白川さんから、そう言われるとがんばらなくっちゃって気になるのよ。」
「うん、自分をもっと磨かなきゃってね。」
「そういえば芸術的って言葉も良く使われるわよね。」
「はは、私たちに、芸術的に素敵な女性になって欲しいってことかな。」
「かもね。」
「なれるかなぁ~。」
「なりたいわね。」