いずれ来る、いや、来なければ市民政党に明日は無いと考えていたのは取材依頼、その一つ目はテレビの情報番組だった。
党員たちがSNSで情報を拡散してくれた成果だ。

「清香、番組制作会社の担当者と直接会わなくて良かったのか?」
「大丈夫、その為の株式会社和馬です、マネージャーが交渉しなければギャラが発生しない恐れが有りました。」
「強気だな、まだ党員が多いとは言えないぞ。」
「愛華レベルの女性が政治を語るのです、ギャラを渋る様なら断って良いと思います。
マスコミに利用されるか、マスコミを利用するか、今後の状況によってはこちらがお金を払うことも想定していますが、今は愛華と康太の価値を高める時です。」
「そうだな、学生だからと言って低く見られたくはない、清香お嬢さまが十把一絡げのアイドル並みに扱われたら柚木社長だって怒るだろうしな。」
「私は一歩引いて和馬の後ろが立ち位置です。
今回は昼間の番組ですのでメインは女性視聴者を意識して康太、サブに愛華、私はおまけで締めは和馬としましょう。」
「康太、有る程度の台本は作るわね、アドリブに挑戦してくれても良いけど。」
「決定事項なのか?」
「康太の力で女性党員をどれだけ獲得出来るか楽しみだわ。」
「覚悟はしてたが…、田舎の婆ちゃんに俺が頑張ってるとこを見せられる様な台本にしてくれよな、でも番組制作側でシナリオを作って来るんじゃないのか?」
「次回の打ち合わせで、こっちのペースに持って行くつもりなの、私達のマネージャーは無能じゃないとすでに証明されてるわ。
先方は学生が始めたバーチャル政党に注目してコンタクトを取って来たでしょ。
そこに、女泣かせの康太という付加価値を付けることには成功したみたいなの。
当初先方は三分程度で紹介と考えてみたいだけど、写真を見せてギャラの交渉した結果、枠を広げる方向で調整中みたいよ。」
「収録なのか?」
「まずはね、その内容が良ければ、生のスタジオに呼ばれるかもって。
次の打ち合わせ風景も撮影しておくそうだから頑張ってね。」
「ああ…。」
「康太、頼むな。」
「和馬、他人事だと考えてないでしょうね?」
「ここは、君たちにお任せだろ。」
「和馬は、(仮)でも党の代表なんだから、代表らしいところを見せてくれなきゃ。」
「そうです、康太の浮ついた笑顔で人をひきつけ、私達がフォロー、締めで安心感を視聴者の方に与える存在が和馬なのですよ。」

俺が安心感を与える存在なのかどうかは甚だ怪しいのだが、彼女達に言われては頑張らざるを得ない。
俺達が立ち上げた政党でも有る、どこまで大きく出来、それが俺達の理想の形となるのかは全く分からないが、今は責任を持って拡大したいのだ。