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構築-10 [シトワイヤン-04]

システム構築は俺が王となったゲームの運営から多くの協力を得ている。
残念ながら王様の命令だからということではなく、市民政党若葉に興味を持ってくれた人が多かったからだ。
彼らは、遊びとしてではなく研究としてバーチャルコミュニティを作り人間関係などを探る研究者集団、それ故にアドバイスも的確、例えば市民政党の問題点として感情論に流され易いという指摘が有る。

「市民政党の危険性は常に運営サイドで注意喚起して行かないとだめだよな。」
「そうね、マスコミに流されない、主観的では無く客観的な判断とか、指摘されてから気を付けているつもりでも、根拠の薄い偏った考えに同調しかけたことが有るわ。」
「あまり疑い深い人間と言うのも考えものだけどな。」
「大丈夫よ、和馬のことは信じてる。」
「はは、難しい問題は多いよな、防犯カメラが監視カメラ化したら、それでより安全になると考える人と、個人のプライバシーを心配する人に分かれる。
人権問題を絡めプライバシー保護を強調すれば、犯罪者保護だと感じる人がいるだろう。
結局、様々な事が国民全員にとっての正解とはならない中で法整備され、その法が正しく運用されなければならないのだよな。」
「多数決は必ずしも正しい結論に導かないとしても、これから党員が増えた時の対立は議論を尽くして多数決しかないのよね。」
「それでも今の所、バランス感覚を感じさせる意見を中心に党の方向性が見えて来てるのは心強いよな。
現時点での党方針は、それを選択するまでの議論も整理し公開しているが問題を感じない、後はこの方向性に賛成する人をどれだけ集められるかだ。」
「でも、今までは大学関係者が中心だったでしょ、これから色々な人が参加して来て変わらないかしら。」
「ある意味ベータ版の運用で党の核が形作られたと思う、ここに極右極左が入って来ても自主的に離党か強制排除だろう。」
「そうね、少数意見の尊重は考えなくてはいけないのだろうけど、同じ考えとは行かなくても近しい考えを持つ人が集まっての政党ですものね、今の政治を見ていても結局は数の論理でしょ。
市民政党若葉の党員をうんと増やして、与党に圧力を掛ける様な存在にしたいわ。」
「そうだな、議論に参加する人数は限られるだろうが、投票やアンケートで意志表示してくれる人が十万人ぐらいになれば、市民政党の考えに賛同する人の意見という前提は有っても、市民がどう感じているか明確に出来ると思うよ。」
「新聞社とかの世論調査って、サンプル数は決して多くないのよね。」
「統計学的には問題ないと言われていますが、それでも調査に協力しようと思う人達の考えでしか有りませんし、電話調査の場合、知らない番号から掛かって来たら出ない人もいます、私の様に。」
「市民政党もネットに接続出来て、党員登録した人に限るから偏る、それでも人数が増えれば可能性が広がるだろう。
政党のシステムは改善が進んでいるし不具合が出てもすぐに解消して貰ってる、この可能性を最大限に活かして拡大して行かないと、サポートスタッフに申し訳ないぞ。」
「そうね、ベータ版から本格運用に向けて、そろそろ広報活動を本格化する体制を考えないと行けないわね。」

市民政党若葉はネット上のサイトでしかない、俺達が立ち上げた政党と言っても実際には技術スタッフの力なくしては有り得ないもの。
党員はじわじわ増えて二千人を越したが、市民政党として機能する人数とは言い難いのが事実。
それでも、バーチャル政党の可能性を語ってくれる党員は少なくない。
俺の彼女達は、自分達の本当の出番はこれからだと考えている、そう、中途半端な人数では意味がない、党員を増やして行くことこそが俺達の役目なのだ。
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