「それでは遠足のグループを決めます。
朝配った資料の形にしたいと思っていますが、特に意見など有りましたらお願いします。
なければ…。」

さすが秋山委員長、要領が良いな。
資料にはグループ分けの案も書いてあって意見があったら、昼休みまでに。
まぁ、反対意見も出にくいような提案だから、すぐグループ分けが始められるということか。
中学だったらこうはいかなかったろうな…。
分ける前にどうやって分けるとか、人数は…、なんてことに時間を使っていたから…。
おっと、俺の出番だな。

「じゃあさ。」
「おう、哲平。」
「固まって座るか。」
「うん。」
「あらっ? 私たちだけじゃなく、他も早く決まったのね、哲平くん。」
「ちょっとした根回しをしてたのは俺だけじゃないってことさ。」

はは、あっという間に五つの班が出来上がった。
さあ、残った奴らはどうするのかな。
おっ、省吾は山影静を口説いているのか?

「山影さん、俺のグループに入らない?」
「えっ…、っと…。」
「良いでしょ?」
「う…。」
「オッケイなんだね、じゃ決定。」

おいおい、省吾の奴、秋山との時はすごく緊張したとかドキドキだったって言ってたのに、あの軽さというか強引さは…、だいたい、うんって言ってないだろうが…。
でも山影静って、話してるところ見たことないな。
結構美人の部類に入ると思うけど…。
あっ、省吾も五人集め終わったのか。
と、いうことは残りは…。

「森君たちは男の子ばかりなのね、井原さんたちは女の子で固まった? 決定?」
「う、うん…。」
「じゃあ調度五人づつで八班できたということね。」

はは、男ばかり、女ばかりで不満そうな顔をしてる奴もいるな、あいつなんか秋山さんが調整してくれると思ってたんじゃないか? もう高校生なんだから、自分たちでなんとかしなきゃな。

「では企画の案を見て下さい。
これはあくまでも案ですから、まず他に提案があったり、この案に対する対案があったら出して欲しいのですが、いかがでしょうか?」
「自由参加ってあるけど? 本当に?」
「ええ、ただし参加はグループ単位になるから、一人だけ参加しないということはNGです。
特に反対がなければ、そのあたりも含めて、説明後にグループで話し合ってもらいます。
それでは…。」

意見を出してくれそうな奴らには、俺たちで手分けして事前の説明がしてあるから、ここまで早く済んだな。
それでは我が班の…。

「じゃあ、グループでの話し合いを始めようか。」
「は~い。」
「まずは班長だけど。」
「哲平く~ん!」
「さんせ~い。」
「けって~い!」
「あ、そうきたか、まあ五人しかいないから決とるまでもないね。」
「自分が班長やるなら、企画にはきちんと取り組みたいんだけどいいかな。」
「い~よ~。」
「って、いうより面白そうじゃん。」
「うん、じゃあ、そっちも問題なしってことで…。
でさ、大きな声じゃ言えないんだけどさ。」
「えっ、何々?」
「ちょっとした企みがあってさ…。」