通称宴会場、山間の新築住宅に今日は安藤や佐々木達が来ていた。

「佐紀、優はどうしてる?」
「フランソワ達とお散歩に出かけたわ、飯山さんとこの美里ちゃんと一緒よ。」
「なら安心か…、舞香は良く寝てるな。」
「ふふ、大社長がデレデレしてて良いのかしら。」

「おっ、良く寝てるな、かわいいもんだ。」
「佐々木も子どもが欲しくなったか? 結婚どうするんだ?」
「桜子はこの先を考えて、ためらっていたけど、覚悟を決めてくれたよ。」
「そうか、発表とか日程はどうなる?」
「出来れば選挙前に挙式と考えているが…、まあ簡単に式をすませておいて、披露宴は後でとなるかもしれない。」
「選挙次第というのも微妙だな、解散するのかな。」
「こっちの情報がどれぐらい漏れているかじゃないか、総理が、こちらの準備が整う前に解散と考えるか、人気取りの政策を確定させてから勝負と考えるか。」
「与党からうちに参加して下さる方もみえるんだろ。」
「とりあえず表明は遅らせて貰う事にしたよ、まあ駆け引きって事だ。」
「議員さん達の身元調査どうだった。」
「結果何人かお断りした、不祥事を起こしかねない人物というか問題の有る人はすべてだ、オーケーだった人でも秘書に問題が有る方は調整中だ。」
「その分当初の議席は減るのか。」
「選挙でその分はすぐ穴埋め出来ると思うよ、お断りさせて頂いた方々が再当選する確率は低いと見てるんだ。」
「変な人を立候補させて後で足を引っ張られたら大きなマイナスだよな、経理とか秘書の方も党で一括管理の方向なんだろ。」
「ああ、より透明性の高い政党を目指すよ。」

「おっ、新婚気分の抜けてない遠藤達が到着だ。」
「おう、佐々木、皆揃ってるのか?」
「ああ、予定のメンバーはだいたいな。」
「佐々木さん、桜子は?」
「合宿所の練習室で練習中だよ、もうすぐ来るだろう、裕子、新婚生活はどう?」
「まあ付き合いも長いから特にはね、あっ舞香ちゃんはおねんねか、優くんは?」
「お散歩中さ、そろそろ帰って来る頃かな。」
「安藤、どうだ語学の方は、進捗状況によって次の記録映像に取り掛かるけど。」
「そうだな、先回よりは随分語彙が増えた、好奇心旺盛でおしゃべりが好きだから、面白い映像が撮れるかもしれないぞ、この前ゼロの概念を説明したら面白がってベビーシッター達に話していたそうだ、何もない机を指さして、リンゴが有るって、ベビーシッターがリンゴはないと答えるとリンゴがゼロ個あるよ~、ってさ、五六人に話して反応を見てた可能性が有るらしい。」
「五種類の言語でそういう事をされると、末恐ろしいな。」
「いや微笑ましいだろ。」
「裕子、うちは普通に育てような。」
「でも、日本語と英語ぐらいなら試してみたい気もするわ、英才教育とかじゃなくね。」
「まあ、それくらいならな。
あっ、そうそう安藤、外国語大学が優くんをCMで起用したいそうなんだがどうだ。」
「う~ん、うちの実験に全面協力して貰ってるから断れんな、佐紀どう思う?」
「そうね、内容を教えて貰って優と相談ね。」
「遠藤、たぶんヒーロー系のかっこいいのなら大丈夫だと思う、普通の男の子だからな。」
「分かった、その線で相談するよう指示を出しておくよ。」
「人気が出ちゃったらどうしよう。」
「当分名前とかは伏せておくか?」
「子どもの頃からあまり働かせたくないんだ。」
「そりゃそうだな、気を付ける様にさせるよ。」
「将来的な話なんだが…。」
「どうした佐々木。」
「国際交流事業とかには協力して欲しいと思っているんだが。」
「う~ん、その辺りは本人と交渉してくれないか。」
「うん、分かった。」