ふわ~、今日は球技大会か…。
夕べは、ゲームやりすぎたかな。
まだ眠い。

「おい森、一回戦目始まるぞ。」
「おう、哲平。」
「バスケはベストメンバーで優勝狙ってんだから頼むぞ。」
「ああ。」

うちのクラス声援多いな…。
でも、応援の声は哲平や省吾たちばっかだ、俺の名前なんて全然聞こえてこない…。
あっ、嶋から省吾へ、おお、ゴール決まった。
ちくしょう俺もゴール決めてやる。
こっちだぞ、嶋。
うっ、今度は哲平か。
あいつらばっか目だってるな。
そうか、作戦会議で何か相談したんだな。
俺、ぶっちしちまったから…。
嶋も俺にはパスしてこないってことか?
まあベストポジションへ走り込めば…。
えっ? なんで? 良いとこへ入ったと思ったのに、俺っておとりになっただけ?
もしかして、俺の動きも計算の内ってか。
あいつら頭良いもんな。
学年一位三位六位か、俺も六位の哲平に引っ張ってもらって、学年六十位になれたけど、奇跡だよな。
おっとパスが来た、えっと、嶋がフリーだな。

「ナイスパス。」
「森、いいぞ~!」

はは、俺への声援は男子ばっかだ。
まあ仕方ないか。

「森、目はさめたか?」
「えっ、嶋、起きてるぞ。」
「どうせ遅くまでゲームでもしてたんだろ、始めのうち動き悪かったぞ。」

あっ、そうだったかも。
球技大会ぐらいでしか良いとこ見せられないのに俺、何やってんだろう…。
おっと前半終了か。

「お疲れ~。」
「おう。」
「圧勝だよな。」
「油断は禁物だぞ。」
「今日はシュートが冴えてるね、哲平。」
「嶋のパスがよく通ってるから。」
「はいタオル、省吾、お茶少し飲む?」
「サンキュー。」
「哲平さん、どうぞ。」
「有難う、しずか。」
「大地さん、タオル、スポーツドリンクで良かったかしら。」
「うん。」

あれっ、嶋の奴、いつの間に、原崎すみれと…。
派手な子じゃないけど、かわいいよな。
黒川は舘内亜美とくっついちゃうし。
おいおい、クラスの美人系、かわいい系、どんどん彼氏作っちゃうってか。
まあ、俺…、失敗したからな…。
はは、ま、今日はバスケ、がんばってみっか。