やっぱり奥田さんは姉御だよな、そうすると省吾さんは…、奥田さん、絶対省吾さんのこと尊敬してるから…。
そりゃ、同学年とは思えないもんな…。
え~っと、親分…、ちょっと違うかな…、頭領…、う~ん秋山さんの立場もあるからな…。
秋山さんだと、姫さまってイメージなんだけど、省吾さんとのからみだと、奥方さまか。
待てよ、F組三国志って、あの勢力図にあったから、皇帝とか、でもそれだと自分のような下々の者は近寄れなくなる…。
三国志で行くなら、彼はアイデアマンだから…、イメージとしては諸葛 亮 孔明しかないぞ。
なら、先生とか、お師匠さま、うん、こっちの方がしっくりくる。
秋山さんは、やっぱ奥方さまかな…。

「ねえ…、星屋くん、何ぶつぶつ言ってんの?」
「あっ、岡崎か、ちょっと考え事。
そうそう、お前さ、奥田さんのことボスって呼んでるけど、やっぱ奥田さんは姉御の方がしっくりこないか。」
「そうか?…、う~ん、確かにそう言われてみるとそうかも。」
「それから、省吾さんは、お師匠さまで、秋山さんは奥方さまでさ。」
「はは、何考えてんの?」
「うん、自分なりに、もっとテスト団体戦とか盛り上げたくなってさ。」
「ほら、奥田さんとか、麻里子さんとか呼んでるより、姉御って呼んだ方が、あっしは、姉御に一生ついていきやんす、って気になるじゃないか。」
「それってちょっと違うっていうか、何か変じゃない?」
「でも、奥田さんはこの前、乗ってくれたぞ。」
「仕方なく、だったりして。」
「いや、俺の姉御はそんなお人じゃねえ。」
「おいおい。」
「でさあ、クラスの席とかもさ、チームが集まるようにしたら面白いと思うんだ。」
「席替えか?」
「ああ。」
「う~ん、そっちは秋山さんとかに提案したら通るかもね、ほら、あそこにいるよ。」
「そ、そうか、よ~し奥方さまに提案してみるぞ。」

俺のことを下らない奴と思ってる人もいるのだろうけど…。
このクラスは自分にとって楽しいクラス、だからもっと。
中学までのクラスとは全然違うから。
始めは森とかがいて嫌だと思ったけど…。
お師匠さまや奥方さまが色々考えて動いてくれたと思うから、俺は俺なりに…。

「奥方さま。」
「はっ、はい?」
「私くしめは麻里子さま配下の星屋でございます。」
「は、はい。」
「この度、一つ提案がございまして。」
「はあ、真面目な提案なら歓迎よ。」
「ありがたき幸せです。」
「で? どんな提案なの?」
「クラスの席のことでございます。」
「はい。」
「現在はチームのメンバーがばらばらに座っておりますが、この戦国の世いささか不自然ではないかと。」
「う~んと…、席替えってことね。」
「さようでござりまする。」
「席替えか…。」
「いかがでござりましょう?」
「考えてみる価値はありそうね、省吾たちとも相談してみるわ。」
「かたじけのう存じます。」
「ふふ、星屋くんも色々考えてくれてるんだ、有難うね。」
「えっ、そのようなお言葉、もったいのうございます。」
「あっ、省吾たち集まってだべってる。
えっと、まだ時間は有るわね。
星屋くん、一緒に行きましょ。」
「は、はい。」

「ね~、みんな席替えしない。」
「うん? 美咲、いきなりだね。」
「なんかあったの?」
「星屋くんからの提案でね、テスト団体戦のチームが固まって座るようにしたらってことなんだけど…、省吾、どうかな?」
「う~ん、考えてもみなかった…、けど面白いかもね、チームの団結とか深まりそうだ。
問題は企画に参加してない人たちかな。」
「でも、参加してないのは、後三人だったよな、何とかなる…、っていうか俺から話しても良いよ。」
「哲平も乗ってくれるのね。」
「ああ、でも、どんな感じで席替えするの? くじじゃないんでしょ?」
「なあ、みんな、席替えイコールくじってどうなんだろう?」
「席替えのドキドキ感は楽しかったなぁ~。」
「うん麻里子の、その気持ちは分かる、でもさ、俺らのレベルだったら、数学苦手で英語得意な子と英語苦手で数学得意な子が隣り合わせとかさ。」
「あっ、そうか、逆に趣味が同じで仲良すぎる子は、離れた方が良かったりするかも。」
「人それぞれだから簡単にはいかないかもしれないけど…、待って、クラスの席ってさ、固定じゃなくても良いんじゃない? グループ内で相談してみんながより集中できるように調整したりさ。」
「寝てたい奴はみんなのじゃまになんない様にとかね。」
「はは、F組でなら実験的に色々試せる気がするな。」
「やってみるか?」
「賛成~。」
「じゃあ、私は授業後にでも、先生と相談してみる。」
「チームリーダーの俺はメンバーに提案ってことだね、美咲さん。」
「ええ、お願いね、正信くん。」
「えっと、今、どのチームにも入ってないのは…、森の他は誰?」
「梶田梨乃さんと、三浦武敏くんよ、哲平さん。」
「了解、静さん。」
「ははみんなやる気満々ってとこね、じゃあうちらも相談するか、星屋。」
「へい、姉御、がってんで。」

やっぱり、F組のリーダーたちはすごい。
秋山さんの一言でみんなが意見を出し合って、すぐ方向性を…、F組でなら実験的に色々試せる、なんてさすがお師匠さまだな。
…、秋山さんも…、俺のこと分かってくれてるのかな…。