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F組三国志 7-2 [F組三国志 7 星屋和彦]

「机の配置も変えるってことか? 省吾。」

席替えが…、自分の思いつきとは違った次元で進行してる。
やっぱ、お師匠さまたちはすごい。
チームごとの席、って自分ではすごく斬新なことと思って提案したのに。
お師匠さまのお考えはそんなレベルじゃない。

「うん、哲平、星屋からの提案を俺なりに検討してみたんだ。」
「ああ。」
「四角い教室に四十人の生徒を効率良くと考えたら、確かに今までの…、小学生の頃から変わらない机の配置が良いのかもしれないけどさ、今のF組だったら、机の配置を変えることによって違った効果が期待できるとも思うんだ。」
「違った効果?」
「そうだな、先生に対して左右が前に出て、席の間の通路もなくす、教室の前の方の密度を高める訳だ。」
「そうすると?」
「前提は、前の方に座るみんなが授業に真面目に取り組む気持ちを持っているってことなんだけどね。
授業中、自分の視野に入る人たちが真剣に授業を受けてたら、自分もって気にならないかな?
逆に言えば、寝てる奴とかの姿が目に入ったら、心理的にマイナスになると思うんだ。」
「う~ん、確かにそうかもな。」
「で、美咲が言ってたみたいに、授業によって席を移動して良いと思うんだ。
それぞれ、集中したい科目とかあるだろうし、時には教室の後ろの方で、のんびりしたいだろうからさ。」
「そうだな…、ねえ、星屋はどう思う?」
「えっ、えっと…。」

哲平さんにいきなり話を振られてしまった。
が…、正直言って、彼と、彼らと話すのは苦手だ。
人気のある哲平さんや、お師匠さまたちと親しくなれたら良いと思うけど、否、そう思うからか、どうしても緊張してしまう。
自分なんかと話しても彼らは楽しくないだろうし…。

「星屋は前が良い? 後ろが良い?」
「えっと、お師匠さま、前が良いです。」
「はは、師匠と呼んでるのは俺だけじゃないんだ、それにしても、お師匠さまとはね。」
「そ、尊敬してるからです、て、哲平さんもですけど…。」
「はは、有難うな、でも、同い年なんだからもっと気楽にしなよ。」
「はい…。」
「なあ、姉御とは、どうなんだ?」
「はい、少しずつ雑用で使っていただけるようになりまして。」
「お前、麻里子のパシリで良いのか?」
「いえ、パシリって感じじゃなくチームの用とか…。」
「それにしても子分ってことだろ。」
「それでも嬉しいんで…、自分、中学の頃…、みんなからほとんど無視されていて…、オタク系ってバカにされてて…。」
「そっか…、でも麻里子と親分子分じゃ、師匠と美咲のようにはなりにくいんじゃないか。」
「そんな大それたこと考えていません…、普通には話せませんし…。」
「まあ、星屋が良いっていうなら…、はは、お前と麻里子との会話は面白くもあるから…、そうだ、省吾はお師匠さまとして、他の連中の呼び方はどうなの?」
「まだ、考え中です…、秋山さんは奥方さまかなって程度で。」
「なあ省吾、みんなにニックネームとかってどうだ?」
「うん、面白いかも。」
「俺は麻里子のこと、姉御なんて呼べないけどな。」
「はは、麻里子的には、編集長とか呼ばれた方が嬉しいんじゃないか。」
「そっか、色んな呼び方があって良いわけだ。」
「哲平は親分、親方、大将、ボス…、ってとこか?」
「ひねりがないな…、星屋、どう?」
「哲平さんは入学した頃から、哲平って呼んでくれよ、って…、えっと、優しい感じなら哲平兄さん…。」
「う~ん、女の子から呼ばれたら、少し嬉しいかも…、なあ星屋、俺のことは、哲平さんじゃなくて、哲平って呼んでくれないか?」
「…、でも…。」
「うん、そうだな、星屋が、人気者の哲平の前で緊張してしまうのは分かる気もする。
俺だって美咲の前ではかなり緊張していたからな。」
「そうだったの?」
「ああ、初めてのデートの時なんて心臓が爆発寸前だった。
あんな知的な美人と、何話したら良いか分からなかったけど、とにかく仲良くなりたかったからね。
嫌われたり、自分のことダメな奴って思われたらどうしようって思ってた。」
「省吾って意外と普通なんだよな。」
「意外じゃないよ、俺は普通さ、哲平みたく女の子にもてるわけでもないしさ。
星屋も、哲平とどう接したら良いか分からないから、哲平さんって呼んでるんだと思う。
でもさ、麻里子も美咲も星屋はちゃんとクラスのこと考えてくれてるって言ってたんだよ。」
「つまり、俺たちは仲間ってことさ、星屋。」
「えっ…。」
「あっ、そろそろ授業始まるぞ。」
「ほんとだ、星屋また話そうな。」

えっ? 仲間? 哲平さんや省吾さん…と? 麻里子さんも自分を認めてくれてる?
なんか、どきどきしてきた。

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