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F組三国志 7-4 [F組三国志 7 星屋和彦]

「はあ~、うまかった。」
「ごちそうさまでした。」

はは、お師匠さま、ラーメンに胡椒たっぷりだったから、一汗かいてる。

「で、和彦に提案というか相談があるんだけどさ。」
「はい、はは、和彦って呼ばれなれてないからなんか照れくさいです。
でも…、もっとお師匠さまが門下生にって感じで話して下さった方が。」
「う~ん、まあそこらへんは今後使い分けていくよ…。
ねえ和彦は今まで、リーダー論とかって考えたことある?」
「えっ、全然ないです、自分はリーダータイプじゃないし。」
「俺はしょっちゅう考えてる。
親父は教育の観点からよく話してくれるし、おじさんたちが遊びに来るとそんな話題で盛り上がるからね。」
「さすが…、家庭環境が自分とはずいぶん違います。」
「はは、そんな中でね、一人の叔父さんがいつも話すのは、教育の過程で集団やリーダーのことをきちんと学ぶ場が足りないってことなんだ。」
「集団やリーダーのことを学ぶ?」
「うん、数学や英語と同じように、きちんと学校で教えるべき、否、考える時間を作るべきなんだって。
今は、部活を通してとかクラスの運営を通してとか、せいぜい道徳の時間ぐらいでしか学校で扱っていないけど、人間が社会の中で生きて行く時、とても大切なことだからって…。

…、俺たちは社会の中で色々な集団に属しているけど、それぞれの集団との関わり方は色々だよね。
個々の集団の目的にもよるし。
でも、そんな中で、それらの集団とどう向き合っていくか、その集団に於けるリーダーの役割なんてことを、メンバー一人一人が考えて、その集団をより良いものにしようとしたら、その集団の目指してることの成果に良い影響を与えると思うんだ。
身近な例を挙げるとさ…。
チーム麻里子という集団を考えた時、チーム麻里子はテスト団体戦での勝利を目的とした。
リーダーの麻里子はチームのみんなに明確な目標を提示し、檄をとばしたからね。
それに対して、主に和彦、黒川、舘内さんの三人が動いた。
この三人は集団の中で、教える立場になるのは自分だと判断し、それを実行した。
そして岡崎たちは引っ張ってもらってでも高得点を取ることが、この集団の中での自分の役割だと認識してそれを実行した。
トップで引っ張った麻里子、それを支えた三人のサブリーダー、そして自らがんばったメンバーたち。
この三者がうまくかみ合ったからチーム麻里子というチームは成果を出せた。
そう、トップリーダーの麻里子だけの力じゃないってことだよ。」
「確かにそうです、田中も岡崎、平岩にも、なんとかしようって気持ちがあったから…、ここに受かったくらいだから頭が悪いわけでもないですしね。」
「で、問題はこれからなんだ。
今の状態を維持できるか、さらに上を目指せるか、それとも後は下降線になるのか。」
「そうですね、高校受験が終わって気が抜けてた人たちが、今回のテスト団体戦で気合を入れ直したってとこだけど、このまま続けていくのは難しいかもしれません。」
「そこで、集団やリーダーということを考えてみて欲しいと思ったんだ。
もちろん、チーム麻里子のことだけじゃなくね。」
「はい。」
「リーダー論って言うと、麻里子みたいな立場の人の話しだと思う人も多いけどね、それだけじゃないんだ。
リーダーの補佐をしながらリーダーを育てるという考え方だってあるし、リーダーを生かす部下という考え方だってある。」
「あっ、そうか、集団の中で…、リーダーは集団の一員でもあるということですね。」
「こんなことを考えることは、和彦にとってとても大変なことかもしれないけど…、F組における和彦の位置や役割をどうしていくかってテーマ。」
「…、確かに…、大変なテーマです…、自分にとって…。」
「でも、和彦にはもう仲間がいる。」
「は、はい…。」

確かに大変なことだ。
お師匠さまの話しは、自分に対して、変われ、と言ってるに等しい。
できるだろうか…?
でも姉御は自分のこと認めてくれた…。
仲間…。
それにしても、お師匠さまはどう考えたって高校生離れしている。
家庭環境の差ってことなのかな。
初めは軽い気持ちでお師匠さまって呼び始めたけど…。
自分の仲間で先生だ。

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