「ねえ裕子、党の資金の方は大丈夫なの? 選挙ってお金がかかるのでしょ?」
「そうね、私も全体を掴んでる訳じゃないから…、でも大丈夫だと思うわ。」
「でもさ、企業からの献金とか少ないんでしょ。」
「うん、でも党員も増えてるし。」
「と、言っても二千円でしょ、党員になるには。」
「最低二千円、その内千円は登録手数料で、千円が党の運営資金、二年目からは千二百円で二百円が事務手数料で千円が党の運営資金、郵便で党機関紙を希望される方は実費プラス手数料となるけど。」
「一人、年間千円でやっていけるの?」
「そろそろ党員が二千万人を越すそうよ、なんかうちの党員になるのことが、今時ってみたいになってきてるから…。
はい、千掛ける二千万っ、い・く・ら?」
「えっ? えっと…、うんと…。」
「二百億、さらに寄付も沢山いただいてるからね。
私達の挑戦を、夢と希望を持って応援して下さってる方も多いのよ。」
「…、そうなんだ。」

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「じゃ~ん、どうだ浩二、これが新党宇宙の党員証だぞ。」
「へ~、でも兄ちゃんまだ高校生だから選挙権ないじゃん。」
「はは、党員資格に年齢制限はないんだよな。」
「そうなの、まあ兄ちゃんは流行に流されやすいタイプだからな。」
「そんなんじゃないぞ、父さんとも相談して党員になったんだ。
新党宇宙のことを知るまでは、漠然と受かりそうな大学受験して適当に学生生活を送って就職してって考えていたけどな、今は党員として自分にできることを真剣に考えているんだ。」
「ふ~ん、あっ、おじいちゃん。」
「健一、浩二、ちょっと話しておきたいことがあるのじゃが、いいか。」
「うん。」
「お前達はわしの遺産をどう考えておる?」
「えっ、そんなこと考えたこともなかったよ。」
「ぼくも。」
「わしはお前達のことを思って親から受け継いだ財産を守り増やしてきた。」
「うん。」
「だがな、ちょっと増やし過ぎたかもしれん。
今までは多い程良いと思ってたがな。」
「そりゃ、多けりゃ安心だよね。」
「でも、お前達が余程馬鹿なことをしでかさない限り充分過ぎる財産がある訳だ。」
「いつもおこずかい有難うね、じいちゃん。」
「はは、で、今、この国を変えようという動きが有る事は知っているな。」
「うん、僕も新党宇宙の党員になったからね。」
「そうか、ならば話が早い、新党宇宙へ一億程寄付しようと思ってな。
まあ遺産相続しても相続税でがっぽり持っていかれるから同じことなんじゃが、白川党首の、手を差し伸べる、という言葉を噛み締めてみてな、お前らの父さんは賛成してくれた。
そうだな、お前達も遺産を当てにすることなく、自分で生きていく力を身に着けるんじゃぞ。
まあ、真面目にやっていても何が起こるか解らん、そんな時はちゃんと手を差し伸べてやるから安心せいよ。」
「うん、解った。」
「そうだ、浩二も新党宇宙の党員になるか?」
「う~ん…。」