「大丈夫ですよ、これからの教育プログラムで松尾社長の功績は伝わって行きます、勿論子猫組にも参加して貰いますので。」
「ああ、そうだった、ねえ、大谷さんは猫桜総合学園構想について知ってる?」
「まだ、名称を目にした程度です。」
「だよね、これからは子猫組も関係して行くから話を聞いてくれるかな?」
「はい。」
「では、皆さんに、こちらの中北くんを紹介しよう、彼はCAT'S TAIL STAFFからうちのスタッフになって貰いました。
彼には本社移転に伴う社員子弟の教育問題という観点から、教育問題検討チームの一員として動いて貰っています、猫桜総合学園構想については、彼から聞いて下さい。」
「よろしくお願いします。
私達は松尾社長からの提案を受けながら、現在の学校制度について考えて来ました。
そこから、かなり実験的な学校として猫桜総合学園を立ち上げていく事を提案しています。
学園の大きな特徴は、生徒を総合クラスと特別専攻クラスに分ける事です。
中等部の総合クラスは普通の中学と基本同じカリキュラムですが、特別専攻クラスは偏ったカリキュラムを考えています。
能力に応じて、生活に最低限度必要な知識の他は技術家庭科に重点を置き、就職後、すぐ役立つ技能獲得を目指すクラス、また、高校内容までどんどん先へ進むクラスなど、特別専攻クラスは一般中学の上位と下位から無駄を無くすと考えて下さい。
また、総合クラスに在籍していても得意教科は先へ進んで構いませんし、音楽の得意な子だけでの一年から三年合同授業も考えています。
高等部も基本は同じですが、職場実習の機会を多く設け、力に応じて中等部のクラスや大学で学習出来る体制を整えて行きます。
簡単に言えば、内容が難しくて授業について行けなく、授業中ぼんやりしている子や内容が簡単過ぎて授業時間を持て余している子の無駄な時間を減らす事が目的です。」
「目標地点を、大学入試では無く、就職して働く事に置くのかな?」
「はい、高等部の途中から就職しても良いです、就職してみて必要な知識が足りて無いと判断したら週の三日は仕事、二日は高等部や大学で学ぶという選択肢も用意したいです。
大学や大学院では社会人も積極的に受け入れて行きます、仕事との両立は所属企業との調整になりますが、余暇を利用して一つの研究を続ける事も可能、実際に始めてみないと分かりませんが、卒業の肩書を得る為だけの機関にはしたくないです。」
「卒業の位置づけは?」
「中等部は三年で卒業ですが、高等部以降は卒業したくなった時、卒業に値する成績を残していれば卒業です。
ずっと在籍したままというのも可能ですが、就職先が猫桜会以外だとどう扱われるか分かりませんし、学割等の問題が有りまして、今後の課題となっています。」
「学費にもよるが学割が使えるなら卒業しないという人も出てきそうか…、学校法人として認可されるのかな?」
「スタートはインターナショナルスクールみたいな扱いになります、後は潰れそうな私立大学を乗っ取り、そこを再生しながら拡大というビジョンも有りますが、現行法上、猫桜総合学園全体を学校法人にする事は難しいです。」
「だろうな、校舎はどこに?」
「まずは高等部の本部と大学の研究施設をニュータウンの近くに建設します。
すでに整地が始まっていまして、猫桜総合学園の核となります。」
「教師の募集は始まっているのですか?」
「いえ、これからです、そこも実験的に始めたいと考えていまして。」