秋が深まる頃、親父の提案で彼女達の両親と共に我が家で会食をする事になった。
大人達に酒が入り会話が弾み始めた頃、俺はお父さん達に囲まれていた…。

「剛太くんは高校生会議の一年生リーダーなんだろ、どんな感じなんだ?」
「リーダーと言っても、お飾りみたいなものです、サブリーダー達が優秀ですから。」
「人に指示を出していくタイプではないと聞いたが?」
「はい、夏イベントに向けての組織作りをして行く中で、優秀なサブリーダーに細かい指示は必要ない、むしろ組織の形だけ固めた後は、色々任せないと失礼になると思いました。
それで、最低限の指示を出し全体を見守るリーダーという形にしたのです。」
「成程ね、良い社長に成れそうだ、久兼さんは次期社長に内定とお聞きしましたが、正式には何時頃なのですか?」
「現社長次第です、実質的な引継ぎは終わっていますので。」
そこへ留美がつまみと酒のお代わりを届けてくれた。
「留美ちゃんも可愛いね。」
「剛太くんから見て三人はどんな感じなの?」
「ここで惚気ろというのですか?」
「はは、その一言で充分かな。」
「皆さんは、彼等の少しイレギュラーな関係をどの様に受け止めておられるのですか?」
「留美は急に大人びて落ち着きましたよ、久兼さん、始めは疑問も有ったのですが三人でパジャマパーティーを開いた時に色々聞かされましてね。
例えばアイドルの追っかけ、偶像崇拝みたいなもので虚しくならないのかってね。
それに比べたら三人だけで一人のアイドルを独占出来るなんて幸せでしかないそうですよ。」
「うちの理沙は夏休み前に、愛人とか妾とかそんな人生を歩むかもしれないとボソッとこぼしまして、少し心配していました。
それが吹っ切れたみたいです、私も我が家での学習会で剛太くんに会って安心しました。
顔だけのアイドルではない、娘が惚れた理由が分かりましたから。」
「茜は容姿が留美さんや理沙さんに劣るからと悩んでいたそうです、それでも同じ高校なので剛太くんといる時間が長くてと色々考えていたみたいです、でも今は女の子同士すっかり仲良しみたいです。
頼もしいのはパジャマパーティーをうちで開いた時でも、時間を区切ってしっかり学習に時間を使っている事です。
何でもその時間は剛太くんが自宅で学習している時間だったそうで。」
「四人で同じ大学へ行こうって話してますから…。
近くにするか岩崎学園大学を狙うか微妙なのですが。」
「あっ、剛太はまだ知らなかったのか、ここに岩崎学園大学の新校舎が出来るんだ、岩崎雄太社長が遥香さまの為にという事なのだがな、成績は優子より上だし高校生会議での実績も有る、岩崎学園大学スーパー特別推薦を狙って良いと思うぞ。」
「えっ、そうなの、枠って何人ぐらいかな?」
「枠は無い、本当に力の有る高校生に無駄な受験勉強をさせない為の制度だからね。
その代わり高二、三月の試験合格後は課題やレポートの提出が求められる訳だがな。」
「知ってる、姉さんでも出来るレベルだから大丈夫だよ。」
「四人揃って受かりそうなのか?」
「彼女達は各高校のトップレベルだよ、でなかったら遊びに行く時の会話は英語のみって無理でしょ。」
「あっ、可愛い子達だから学校の成績まで意識していなかった。」
「枠がないのなら、夏イベントでサブリーダーをやってくれた連中は全員受かってもおかしくないよ。」
「そこなんだな、頭の悪い子達が君達と同じ事をしていたら大人達は反対するだろう、でも娘たちが論理的に考えた上で真面目に情報発信してるから、少々イレギュラーでも応援する人が多いのだと思う。」
「有難う御座います。」
「たとえ娘と別れる事が有っても、私は君を応援するよ。
良かったら、うちの会社で実習してくれないかな。」
「はい、お願いします。」
「女性社員達から頼まれてね、彼女がいても関係なく、弟にしたい高校生ナンバーワンだそうだ。」
「はは…。」