「梶田さん、今日の学習予定は?」
「まずは英語のつもりで…。」
「私も英語、梶田さん、英語はどう?」
「そうね、テキストからの問題ならなんとかなりそうなんだけど。
先生オリジナルの文章からって出題もあるみたいだから…。」
「実力問題が出るのよね~。」
「先輩たちは、毎回そこで苦労してるって、栗原さん言ってた。」
「一夜漬けじゃどうにもならないってことね。
ね、椅子と座布団、どっちがいい?」
「えっと、座布団の方が落ち着くかしら。」
「じゃあ、隣の部屋へ行きましょう。」
「ふふ、ほんとにご自身のお宅みたい。」
「はは、まあ、省吾のお父さまお母さまの、お許しは得てありますからね。」
「ほんとに結婚するんですか?」
「えっ? あ、そうね、できれば…。」
「へ~真剣なのね。」
「うん、さ、英語やりましょ。」

秋山さん、本気なんだ。
そりゃあ、省吾さんだからね。
大人で、頼れる人、他の男の子たちとはずいぶん違う…。
あっ、英語やんなきゃ…。

…、ふう、予想問題の再確認できた。
でも、実力問題がな~、去年の問題も時間があれば、決して難しすぎるって感じじゃないけど。
結構量があって大変そうだな…。

「美咲ちゃん、そろそろお昼だけどどう?」
「あっ、早川さん、そうね、梶田さんは、ごはん早めがいい? 遅めがいい?」
「私はどちらでもいいです。」
「じゃあ、ゆっくり目にしようか。」
「はい。」
「早川さん、私たちは後でいいです。」
「了解、どう? 勉強の方、はかどってる?」
「私はまあまあかな、梶田さんは?」
「一通りはできたけど、後は実力問題に向けてってとこです。」
「英語か、あらっ、美咲ちゃんは英語の本を読んでたの?」
「ええ、省吾が選んでくれたの、小学生の頃に読んでた本なんだって。
ふふ、省吾の六年生頃の字で単語の意味とかのメモ付き、なぜか高校一年生の私に調度いいみたい。」
「へ~、省吾くん、英語も…、英才教育ってことか。」
「ふふ、ご本人は門前の小僧って言ってたけど。」
「何? それ?」
「門前の小僧習わぬ経を読む、家庭環境のおかげなんだって。
赤澤のお父さまは、このご自宅に大学関係の人をよくお招きになるそうなの。
その中には海外からの留学生もいてね。
だから本当にちっちゃい頃から英語にも接していて、はは、中一の英語ほどかったるい授業はなかったんだって。」
「そっか、環境か、後で省吾くんにも直接聞いてみようかな?
あっ、そうそう、梶田さんだったわよね。」
「は、はい。」
「食後にもう一度面接お願いしてもいいかしら?」
「はい。」
「じゃあ、二人は十二時半過ぎからゆっくり昼食にしてね。
まずは飢えた男の子たちのおなかを満たしてくるわ。」
「はは、よろしくお願いします、早川さん。」

省吾さんは英語もできるんだ。
う~ん、家庭環境か…。
うちだって…、父さんは、大きくないけど会社の経営者だし。
恵まれてるって感じてたけど…。

「梶田さんも、本読んでみる?」
「あっ、省吾さんの英語の本ですか?」
「ええ、見せてもらえますか。」
「こっちは、もう読んだからどうぞ。」
「ありがとう。」

へ~、そんなに難しくないけど、うん、高一に調度いいレベルかも。
これが省吾さんの小学六年生の頃の字か、ふふ、字だけなら普通の小六かな。
でも、ちゃんと分かりやすくしてある。
さすがだなぁ~。
私んちにも、お母さんが買ってくれた教材色々あるけど…。
最近、チーム正信の人たちと学習してると、すぐにポイントはどこだって話しが出てくる。
大切なところ、重要なところ…。
英語学習のポイントって考えもあるのね。
実力つけるなら、色々な文に接するってことなんだろうな。
直接テストの点に結びつかなくても。
あっ、ということは秋山さんも、一通りの学習は済んでるってことか…。

…、この本、結構面白い。