「あれ~? 軒先のアシナガバチの巣、大きくなって働きバチも増えたのに…、何か変だぞ、ぽてち。」
「どう変なの、おにい?」
「う~ん、働きバチが働いてない気がする…、あっ、巣の中がからっぽだ、さなぎとか幼虫とか卵がないぞ。」
「どういうことなの?」
「う~ん、普通なら次の代の女王バチを生み出すまで、働きバチに暇はないと思うんだ。」
「と、いうことは?」
「女王バチ様がお亡くなりになったみたいだな。」
「アーメン。」

それから1ヵ月後
「働きバチたち暇そうだね、おにい。」
「そうだな、巣に集まって少しは動くけど、することなさそうだな、動かなけりゃ餌も必要ないのかもしれないね。」

そして冬を迎え働きバチの数は少しずつ減って、翌1月
「まだ生き残っているね。」
「ぽてち、今生き残ってるのは、遅くに生まれた個体だと思うんだ。」
「と、いうことは?」
「全く働かなかった働きバチかもしれない。」

ある秋から冬の出来事でした。