間借りしてる大家さんは私のこと、巣作りをちょっと楽した手抜き女王蜂って呼んでるけど、女王蜂も大変なのよ。
お隣の女王蜂さんなんて巣を作り始めてすぐ行方不明になってしまったわ。

とにかく最初は独りで始めなきゃならない定めなの。
巣を作りながら卵を産んでって、一匹目の働き蜂が一人前になるまでは独りで子どもの面倒を見なきゃいけないわけ。
私の場合は先輩が途中まで作った巣を使わせていただいてるから、巣作りの手間はずいぶん省けたけどね。
それでも子ども達のご飯の世話とか大変だったんだから。
今は何匹か一人前になってくれたから、ちょっと気が楽ね。

あら、狩に行ってた子が帰ってきたわね。
「女王様、青虫の肉団子持ち帰りました。」
ご苦労様、噛み砕いて小さい子達にあげてね、私も手伝うわ。
「かしこまりました、肉団子半分お願いします。」
はいはい。

子育てしながら増築もしないといけないのよ。
でないと子どもが大きくなった時にはみ出してしまうの。
色々大変なんだけど、がんばって王女を生み育ててみせるわ。


「このアシナガバチ、古い巣を再利用してんだぜ。」
「へ~。」
「普通は一匹の女王蜂が一から巣を作って行くんだけどね。」
「手抜きしたんだ…。」


TENDERLOIN

珍しいバラ