SSブログ
Lento 8,マネージャー ブログトップ
- | 次の10件

マネージャー-11 [Lento 8,マネージャー]

「川野さん仕事の方はどうですか?」
「ええ桜子さん、裏で手を回して下さったんですね、有難うございます。
おかげさまでテレビ局の仕事が増えて生活も安定してきました、Lentoの仕事も増やしていただけましたし。」
「よかった。」
「でも収入は真子に遠く及びませんが。」
「ふふ、気にしない気にしない。」
「真子ちゃん、私にもおごってね。」
「はは桜子さんったら…、そうね今度、私と川野さんと和音の三人、プラス茂根くんって感じのDVDを出そうかって話もあるから、売れたら50円のアイスキャンディーぐらい、おごってあげるわ。」
「え~、真子ちゃんはもっと太っ腹だと思ってたのになぁ~。」
「ふふ。」
「それより、川野さんなの? 呼び方。」
「えっ? それはまあその…。」
「はぁ~、顔が真っ赤よ真子ちゃん。」
「人前では自然じゃないですか?」
川野がフォローする。
「川野さん、確かにそうなんだけど、ここのメンバーは身内みたいに考えて欲しいわ。」
「はい、何か頼れる世話好きの妹が一度に増えた気分です。」
「はは、そうそう川野さん2月の演奏旅行はどうなの?」
「どうなんでしょう? 今はLentoの皆さんに引っ張っていただいてる感じなので…、スケジュールはどうとでもなると思うのですが。」
「じゃあ、一緒に行きましょう、祥子はね、向こうで川野さんにも実力を試してもらいたいって考えているの、場合によっては和音と離れてのステージもありかもって、考えておいて欲しいそうよ。」
「真子と踊る様になってから、色々発見があって、それまでも自分なりに自信を持って活動していたつもりだったんですけどね、視点が上がって視野が広くなった気がしています。
正直、日本とは違った環境に興味がありますね。」
「そうか、まだまだ上がありそうなのね。
そうそう、茂根くんもスケッチ旅行の感覚で同行してもらう事が決まってるんですよ。」
「桜子さん、茂根くんは自分以外は、みんな美男美女になりそうだなぁ~、なんて言ってたわよ。」
「はは、でも茂根くんは外見こそじゃがいもだけど、素敵な人だと思うな、和音が心を寄せる気が分るわ。」
「茂根は良い奴ですよ、話をしていても彼の暖かさが伝わってきますから。」
「ジャニーズ系じゃないけど、いい顔してると思うな、特に絵が認められてから自信にあふれた顔をしてる…、あらっ、うわさの主は、さりげにスケッチの最中ね。」
「真子、彼は、どうして経済学部を選んだのかしら?」
「進学の時、絵では食べていけないって、自分で思ったそうなの。」
「そうか、私達サブマネージャーは、お金のことを考えなくても良い生活をしてきたから…。」
「ふふ、茂根くんも力があったから結局早かったわね。」
「どんな感じだったの? 真子。」
「最初は白川さんや緑川さんが、茂根くんの絵を気に入ってLentoに飾り始めたの。
その絵に気づいた和音が「花と妖精」を頼んで、私達で演じたら反響が大きくて。
白川さんの、皆さんで茂根達也を育ててみませんか? との言葉に乗った人たちで彼の生活を支え始めたんだけど2ヶ月でその支援もいらない状況になって…、茂根くんは支援を名乗り出てくれた人たちに、絵を贈ってね。
え~っと、あのピアノの所に飾ってあるのもその一枚ね。
このまま彼の名が広がったらあの絵も高くなるんでしょうね。」
「花壇をお散歩するニンフって感じかしら、優しくて良い絵だわ。」
「そうなの、和音のベースも優しさだから…、茂根くんの絵を見ながら和音の演奏を聴くなんて最高に癒されるわね。」
「そ~よね~。」
「あれっ? 桜子さん、和音ちゃん立ち上がりましたよ。」
川野が声をあげる。
「あっ、ピアノ弾くみたいね。」
「和音はほんとにピアノ弾くのが好きだからね。」
和音はピアノに着くと誰も聴いたことのないメロディを奏で始める。
それは優しく聴く者の心に染み渡る演奏だ。
そして、聴いている者たちは気づく。
そこにある茂根達也の絵の世界をピアノで表現しているのだと。
しばらくして真子が踊り始める。
とても自然に。

問屋直営!ペット用品の専門店

世界にたった一つだけしかない作品


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

マネージャー-12 [Lento 8,マネージャー]

「それにしても素敵よね~。」
真子の踊りが終わったところで祥子に声をかけたのは裕子の母、桐子だ。
「ほんとにそうです、この子達の近くにいられる自分って幸せだと何時も思っています。」
「うらやましいわ。」
「はは、でも今日の演奏を聴けただけでも…。」
「そうよね~、私もお義父さまや裕子に感謝しなきゃいけないわね。
ところで真子さんが踊ったのは何ていう曲なの?」
「多分即興だと思います。
私も初めてですし、おそらく…、そこの絵をモチーフにしてたと思いますから。」
「えっ、あれが即興なの…、今更ながら…、なんかどきどきしてきたわ。
すぐそこに天才ピアニストがいるのね。」
「はい。」

「ところで、明日ドイツからのお客様がおみえになるのでしょ?」
「ええ、しばらく忙しくなります。」
「そういえば向こうのプロジェクトメンバーという話を聞いていますけど、名前とかはないのかしら。」
「三日程前に、Team Harmonieに決まったそうです。
ただ、ロゴとかでは和音とか、わおんとか漢字やひらがなを使いたいそうです。」
「でも、それだと真子さんが気を悪くされないかしら。」
「いいえ、真子も喜んでいます。
和音がいて、今の自分があるし、和音という天才の周りに自分達が集まっているからなんだそうです。
そして、ピアノと踊りや絵とのハーモニーという意味にも取れるって。」
「そうなの…、それはそうと、和音ちゃんと真子ちゃんのユニットに名前は付けないの?」
「それなんですよ、ずっと皆で考えているのですが、なかなかしっくりくる案が出て来なくて…、桜子のお父様からはテレビ局が中心になって視聴者から名称募集しても良いのではとの案もいただいています。
採用された方はヨーロッパ演奏旅行へご招待とかで。」
「あら良いわね、私も応募しようかしら?」
「はは、だめですよ、関係者の家族の方は自費でご参加下さい。」
「あら残念ね、でも実はもうスケジュールとか調整を始めているのよ、お義父さまも費用は気にするなって、言ってくださってるしね。」
「やはりそうでしたか楽しみにしてます。
ただユニット名に関しては、ちょっと問題が有りまして…。」
「どんな?」
「真子は自分と和音だけのユニットじゃないって言うんです。」
「どういうこと?」
「和音を中心に、和音が色々な人と組むものであって、そう茂根くんや矢野さん、先崎くん達とのユニットでもあるし、裏方の私達やLentoのスタッフもその一員であって、仲間って感じられる名前が良いって、和音も自分が中心ってのは、ちょっとな~、って言いながら、みなさんに支えられているのだから真子の言う通りって。」
「はぁ~、ほんとに素敵な子たちね。」
「はい、真子って華やかな雰囲気を持ってますから、よく知らない人は勝手に勘違いすることも有るのですけど、実際は色々心配りできる子なんです。
でなければLentoでランクトップにはなれませんけどね。」
「そうよね~、そう言えば、ずいぶん前に裕子からも聞いたことがあるわ、Lentoで自分をあっさり抜いていった後輩が居るけど、尊敬に値する子だから、自分だけでなく皆、妬むこともなく、憧れてる子も多いって。」
「はい、Lentoのスタッフは皆、そんな真子と優しき天才ピアニスト、和音の為に働きたいって考えています。」
「私も二人の為に働きたいわ。」
「よろしくお願いします。」
「まずは食後のお茶ね。」
「ははは、お願いします、私も手伝いますね。」

引っ越ししてもずっと使えます

エクサボディ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
- | 次の10件 Lento 8,マネージャー ブログトップ