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梶田梨乃-02 [F組三国志-04]

「梶田さん、今日の学習予定は?」
「まずは英語のつもりで…。」
「私も英語、梶田さん、英語はどう?」
「そうね、テキストからの問題ならなんとか、でも、先生オリジナルの文章からって出題もあるみたいだから…。」
「実力問題が出るのよね~。」
「先輩たちは、毎回そこで苦労してるみたいって、栗原さんが言ってました。」
「一夜漬けじゃどうにもならないってことね。
 ね、椅子と座布団、どっちがいい?」
「えっと、座布団の方が落ち着くかしら。」
「じゃあ、隣の部屋へ行きましょう。」
「ふふ、ほんとにご自身のお宅みたい。」
「はは、まあ、省吾のお父さまお母さまの、お許しは得てありますからね。」
「ほんとに結婚するのですか?」
「えっ、あ、そうね、出来れば…。」
「へ~、真剣なんだ。」
「うん、さ、英語やりましょ。」

 秋山さん、本気だ。
 そりゃあ、省吾さんだからな。
 大人で、頼れる人、他の男子たちとは随分違う…。
 あっ、英語やんなきゃ…。

 …、ふう、予想問題の再確認は出来た。
 でも、実力問題がな~、去年の問題も時間があれば、決して難しすぎるって感じじゃないけど。
 量があって大変そう…。

「美咲ちゃん、そろそろお昼だけどどう?」
「あっ、早川さん、そうね、梶田さんは、ごはん早めがいい? 遅めがいい?」
「私はどちらでもいいです。」
「じゃあ、ゆっくり目にしようか。」
「はい。」
「早川さん、私たちは後でいいです。」
「了解、勉強の方は、はかどってる?」
「私はまあまあかな、梶田さんは?」
「一通りは出来たけど、後は実力問題に向けてってとこです。」
「英語か、あらっ、美咲ちゃんは英語の本を読んでたの?」
「ええ、省吾が選んでくれたの、小学生の頃に読んでた本なんだって。
 ふふ、省吾の六年生頃の字で単語の意味とかのメモ付き、なぜか高校一年生の私に調度いいみたいなのです。」
「へ~、省吾くん、英語も…、英才教育ってことか。」
「本人は門前の小僧って言ってたけど。」
「何、それ?」
「門前の小僧習わぬ経を読む、家庭環境のおかげだそうで。
 赤澤のお父さまは、このご自宅に大学関係の人をよくお招きになるそうなの。
 その中には海外からの留学生もいらしてね。
 だから本当にちっちゃい頃から英語にも接していて、はは、英語ほどかったるい授業はなかったのだとか。」
「そっか、環境ね、後で省吾くんにも直接聞いてみようかな?
 あっ、そうそう、梶田さんだったわよね。」
「は、はい。」
「食後にもう一度面接をお願いしても良いかしら?」
「はい。」
「じゃあ、二人は十二時半過ぎからゆっくり昼食にしてね。
 まずは飢えた男の子たちのおなかを満たしてくるわ。」
「はは、よろしくお願いします、早川さん。」

 省吾さんは英語も出来るんだ。
 う~ん、家庭環境か…。
 うちだって…、父さんは、大きくないけど会社の経営者だし。
 前は恵まれてると感じてた…。

「梶田さんも、本を読んでみる?」
「あっ、省吾さんの英語の本ですか?
 そうですね、見せて貰えますか。」
「こっちは、もう読んだからどうぞ。」
「ありがとう。」

 へ~、そんなに難しくないけど、うん、高一に調度いいレベルかも。
 これが省吾さんの小学六年生の頃の字か、ふふ、字だけなら普通の小六かな。
 でも、ちゃんと分かりやすくしてある。
 さすがだなぁ~。
 私んちにも、お母さんが買ってくれた教材が色々あるけど…。
 最近、チーム正信の人たちと学習してると、すぐにポイントはどこだって話しが出てくる。
 大切なところ、重要なところ…。
 英語学習のポイントって考えもあるのね。
 実力つけるなら、色々な文に接するってことだろうな。
 直接テストの点に結びつかなくても。
 あっ、ということは秋山さんも、一通りの学習は済んでるってことか…。

 …、この本、結構面白い。
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