SSブログ

大銀河帝国-30 [シトワイヤン-34]

全てが順調とは行かないが、地球上の多くの国が大銀河帝国と友好的な関係となった。
各国の失業率が大きく下がったのは、直接利益に結びつきにくい活動をしている地球防衛軍に対して、政府や企業が多額の資金を出し支えている事が大きい。
環境問題と雇用問題の二つが緩和されるのなら費用負担は重くない。
失業者が減れば、経済活動が活性化、企業の業績が向上し税収も増える。
格差が顕著だった頃の低所得者層が安定した職に就いたということの経済効果はとても大きい。
大銀河帝国は行き過ぎた競争社会を否定し、例えば価格カルテルを推奨しているが、そこには消費者が納得できる適正価格を目指すと言う目的が。
従業員に対し適正な給料が支払われ、大きな利益を得た場合は地球防衛軍に援助という流れが出来つつ有るが、そこに強制はなく、経済に対して価値観の変わった人達が自然な形で取り組んだ結果。
姫さまの祝福を感じ、地球市民としての有るべき姿を人々はまだ模索している段階だが、様々な問題に取り組む視点は確実に高くなり、視野が広がっている。
貿易は品目によって自由貿易から計画貿易へ移行、需給のバランスを取りつつ災害時には食料の備蓄分を国同士が融通し合う。
それに合わせて生産量が調整されている。

「和馬さん、世界的計画経済の中でアフリカの貧困国はどう位置付けているのです?」
「そこなんだよな、智里も現状は見て来ただろ。
支援によって生活が安定したら一気に人口が増えそう、そうなったら自然環境が破壊されて…。」
「将来を見越して植林した木が切られて薪になったと聞いたことが有ります。
薪にせざるを得ない状況だったのでしょうが。
総合的に支援をして、産児制限まで考えて行かないと…、でも万里の祝福を感じた人でも、地球市民党の理念を理解して貰うまでに時間が…、教育には時間が掛かりそうです。」
「我々と同じ様な生活を考えていないとしてもな、都市部の住人に問題はないのだが。
姫さまは時間を掛けて取り組んで行きましょうと話されていたが、地球市民の中には一刻も早くと考えてる人もいる。」
「難しいですね、単純に支援すれば良いという話では無く、自立して安定した社会を築いて貰わないと行けないですし。」
「ファルコン号で上空を通ったエリアでも、姫さまの事が充分認識されてなくて、昔ながらの宗教に組み込まれたという報告が有るぐらいだ、まあ、幸せに暮らしていてくれれば、我々が介入する必要は無いのだが。」
「伝染病とか、彼らの手に余る問題が有るのですよね。
大銀河帝国が大きくなり、国家間の争いは大きく減りましたが、環境問題と言い、まだまだ課題は残されていますね。」
「ただ、その課題を解決して行く事で世界の結束が強まっているとも考えている。
もし、課題が無くなったらどうなるのかな?」
「課題が無くなる程甘くは有りませんよ、地震台風竜巻に火山、山火事、災害は起こり続けます。
気候変動によって、この先どうなって行くのか解りません、もう遅いという人がいるぐらいで、地球防衛軍が頑張っても追いつかないかも知れません。
それでも、地球市民はこの地球の環境を守る為に力を合わせて立ち向かってくれると思います。
万里の願い、それを地球市民全員で共有しているのですから。」
nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー