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大銀河帝国-17 [シトワイヤン-33]

空中宮殿での生活はのんびりしたものとなっている。
中東を中心に各国を飛び回っていた頃とは打って代わり、姫さまに会いたい人が小型飛行船でやって来るが、そこに色々制約が有るので来客は多くない。
それでも、多くの情報が入って来ていて、最終判断を姫さまに委ねる案件もそれなりに。
姫さまは悩まず決断を下し、指示を出した後、上手く行かなかったら修正して行きましょうと話される。
その後修正が必要となる事はなく、大銀河帝国は刻刻とその体制を強固なものにしつつある。
経済的に苦しくなった小国から、大銀河帝国領として再生して行きたいという依頼が増え、それに応える為、スタッフの人数は増え続けてるが、それと共に国籍を大銀河帝国にしたいという声が高まりつつ有る。

「和馬さん、日本では認められていませんが、二重国籍というのは一般的なのですね。」
「ああ、大銀河帝国の国籍条項も二重国籍を前提に検討して貰ってるよ。
まず、大銀河帝国や関連企業のスタッフの内、勤続期間が一年以上の人が希望すれば国籍を得られる様にして行く、帝国のパスポートを持てば友好国への出入りが楽になる様、交渉して行きたいね。
二重国籍を持てない日本人向けには特別な制度を検討中、国籍は持てないが同等の扱いをして貰えるようにね。
税金の金額は個人の自由だが、金額によって医療費の個人負担比率、将来受け取れる年金額が変わるシステムになりそうだよ。」
「税という名の社会保険なのですね。」
「大銀河帝国自体が商売をしているようなものだろ、軍を持たず自治領以外に国土を持たないから普通の国より支出が少ない、地球防衛軍は大きな支出となっているが帝国だけが費用負担している訳ではないからね。
自治領でも国営企業中心に計画的な生産販売や貿易で利益を得ている、その利益を税金の代わりにして行けば、充分国を動かして行けそうなんだ、今は社会保障のシステム、医療や年金の為の税金という意味を理解して貰ってる段階、税金を払わなくても構わないが、病気の時や年老いてからの事を考えなさいとね。」
「強制しない代わりにある意味厳しいのですね。」
まあ、病気になっても最低限の治療は受けられる様に指導をして貰っている。
まだ贅沢品は国営商店でしか手に入らないから、物を買えば国が儲かるシステムでもある。
今後はそこに自由競争の原理を導入してどうなって行くかだね。
国営企業で有っても、結果を出せば昇進や昇給が有るが、国民は姫さまの信者、かつての社会主義国の様にごまかそうとする人はいないみたいだよ。」
「法律も簡単ですよね、人として正しい事をし、正しくない行いは恥ずべき事だと思え。
細かい定めが何も無いのに問題が起きてないと聞きました。」
「姫さまと共に歩みたければ、姫さまを悲しませる事は出来ないと、完全な宗教による支配と言えなくもないが、ややこしい戒律は一つもないからな。」
「こうなってくると万里の国籍問題を考えないと行けませんね、日本国籍のままで良いのか。」
「ああ、国家を超越した存在、そろそろ日本で払ってる税金を減らして良いかもな。」
「企業の本社を自治領へ移して行きますか?」
「帝国領に入りたいという小国の立て直しや帝国直属の地球防衛軍をさらに拡充して行くには予算に余裕が必要、宇宙開発費も増額したいし。」
「国民に高額な納税を強いてる訳では無いので反対されにくいのですね。」
「宇宙開発だって多くの雇用を生み出す、収益に繋がりにくくても無駄な支出ではないからな。」
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