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改革-13 [シトワイヤン-30]

飛行船の話は、その静かさとのんびりした雰囲気が姫さまを運ぶのに一番相応しく魅力的だと盛り上がったのだが、維持管理の問題などクリアしなくてはならない事が多い。
ヘリは便利だが騒音で人に迷惑を掛け、姫さまのイメージにそぐわない、それでも諸事情を考えると利用して行くしかない。

「温暖化対策を考えてるのにヘリを使うのは、姫さまでなかったら突っ込まれそうだわ。」
「地上を移動して、巡礼者の車が渋滞を起こす事を考えたらマシじゃないか。」
「結局、私達だって温室効果ガスを出しているのよね、個人の範囲だとそれ程でもないと誰もが思う、でもそれが集まると膨大な量になるという事でしょ。
高速道路の渋滞をニュースで見ると、とても沢山の車が排ガスを出しながらノロノロ進んでる、それでも地球規模で考えたらほんとに極一部なのよね。」
「だからと言って、車や飛行機を使わないとなると今の生活は維持出来ない、一度手に入れた便利さは簡単には手放せないのだよな、冷房がないと熱中症になり兼ねないし。」
「昔は冷房なしで暮らせたのよね、まあ清香村では扇風機だけで充分過ごせるのだけど。
あっ、中東の地下施設は夏でも涼しいのかしら。」
「と思うね、ある程度の深さになれば気温の変化は少ないだろう。
人工光による屋内の畑も有ったから、暑い時は地下で暮らすという選択肢は悪くないのかもな。
う~ん、それなら、水没しそうな小さな島国は水中都市か…。」
「温暖化対策を諦めるの?」
「もう手遅れの様な気がする、水中も温度変化は少ないだろ、島を囲うように水没を前提で建設、台風にも強くする、費用面が問題だろうが。」
「実験的に舞姫さまの社をそんな島に建設してみる?」
「そうだな、沈みそうな小さな島国なら何とでもなりそうな気がするね、いっそ姫さまを君主とする国を建国するか、清香はどう思う?」
「とりあえず調査して貰いましょう、温暖化に対しては後ろ向きですが、島が沈む不安を抱えている人達には喜んで貰えるのではないでしょうか。
水中都市と言っても水面近くに建設するのであれば、水圧の問題は何とかなると思います。
でも、姫さまを君主にというのは伏せておいた方が良いでしょうね。」
「そうだな、一度訪問し向こうから君主にと言って貰える様な策略を練りたいな。」
「はは、気が早過ぎよ、清香、費用は姫さまにお願いして新作DVDを制作して頂けば何とかなりそうじゃない?」
「新作を出さなくても、この所、入金が多いから大丈夫でしょう。
水圧と地震や津波に耐えられる様に配慮し、核となる居住空間を作ってから、清香村の別荘同様、増築を繰り返して行く、それなら予算に応じて都市を拡大して行けます。
干潮時に全てが水上に有る状態から始めれば良いのですが、水面に浮かぶ施設も作りましょう。
姫さまの社と水没都市、水上ホテルといった目新しさで観光客を呼べるのではないですか。」
「波の力による波力発電も実験的に導入してみたいね。」
「それなら干満の差を利用した潮汐発電はどうなのかしら、規模にもよるのだろうけど電力は化石燃料抜きの発電で賄いたいわ。」
「姫さまの聖地で有ると共に温暖化問題の聖地に出来ると良いですね。
そういう島の人達、市民意識はどうなのでしょう?」
「島の規模にもよるだろうが、運命共同体的な面は有るだろう、特に水没しかねない島なら。
移住もままならないだろうし。」
「進めてみる?」
「そうですね、姫さま関連の収入は特徴的な使い方をして行きたいです。
弱者への支援は、地球市民たちが普通に考えて下さるでしょう。」
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