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改革-11 [シトワイヤン-30]

姫さまの記者会見。
姫さまへの質問は事前に記者達で整理して提出して貰ったが、人数が多過ぎて取りまとめには苦労した様だ。
それでもトラブルにならないのは姫さまの影響下にあるからだろう。
その質問に答えながら三十分程度にまとめられた話は、問題が無いか日米のスタッフを含めて確認、影響力の大きさを考え言葉を吟味。
実際のスピーチは、姫さまの近況報告に始まり、質問内容に答えた後、砂漠化を食い止め緑豊かな地球にしたいと訴え、市民改革の話で締めくくられた。
ただ、姫さまの話は、森を守り砂漠化を食い止めたい、という辺りから、詩の朗読と歌の中間の様な不思議なものに。
記者たちは、ただ静かに聞き入っていた。

記者会見の翌日。

「姫さま、記者会見への反響は大きく、速報で沢山の情報が届いています。
映像は世界中に配信されたのですが、画面を通して祝福を感じるた人が多いみたいです。
途中からの歌う様な問いかけは、やはり意識的にされたのですか?」
「ええ、私の思いを伝える一番の形だと思いましたので。
世界の環境問題を考えたら、もう時間の猶予はないと感じています。
人間にとって住み易い環境が失われつつ有る、このまま温暖化が進めば様々な問題が起こります。
海面が上昇し水没する島だけでなく、台風はその力をより大きくして人々の暮らしを脅かすのでは有りませんか。
寒い地域が暮らし易くなるといった単純な話ではないのです。
和馬さん、私の思いは人々に伝わったのでしょうか?」
「はい、少なくとも日本や欧米からの速報では、政治任せにするのではなく市民が動いて何とかして行こうという声が強くなりそうだと。
一番の問題で有る、電力や自動車の問題をもう一度見直そうとも。
また、苗川市の住民が自身の町をユートピアだと話す事も、その本質を見極めんとする声が上がり始めています。」
「そうですか、しばらくは皆さんがどう動いて下さるのか見守ることになりそうですね。」
「状況を把握して次の一手です。」

「姫さま、和馬、地球市民党関連の放送局が手を組み、姫さまが話された『地球を守るのはあなた方市民』というフレーズを前面に出して統一キャンペーンを展開する話が出て来たわ。
実現したら姫さまにも協力して頂きたいと。」
「そうですね、地球市民党も前面に出して行きますか。
国際関係を考えたら日本が主導的立場になるべきだと思いますが如何でしょう?」
「中東を含めて展開するのであれば最善ですね、愛華、首相官邸へ連絡を入れてくれるか。
私は地球市民党の幹部と連絡を取るよ。」
「分かったわ、市民政党若葉へも、このキャンペーンを通して市民教育に繋げて行きたいと伝えておくわね。」
「では、私はキャンペーンの責任者が決定したら、その方とお話したいと思います。」
「姫さま、何かお考えでも?」
キャンペーンに合わせて、私の移動手段の一つに飛行船を取り入れては如何でしょう。
飛行機よりは随分燃費が良い様ですし、比較的低空を飛ぶことになれば、それだけでも喜んで頂けるかと思いまして。」
「成程、より多くの人に祝福を感じて貰えますね、取り敢えず、こちらでも調べてみます。」
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