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社-04 [シトワイヤン-28]

ヘリコプター利用の話は、キャッシーが新たに作っている町MAIHIMEまで、空港からの交通手段として検討していると聞いていて思い浮かんだ。
MAIHIME TOWN、新たな町作りに関しては舞姫さま関連の英語版サイトで公開している。
それは本当に何も無い原野に、水道などのインフラ整備と並行して道路を作る所から始まった。
作業員の宿舎用ユニットハウスは道路工事の進捗に合わせ移動したが、今は町に落ち着いた。
食堂など作業員の生活に必要な建物に続いて学校など家族の為の施設が建てられていく。
初期工事のユニットハウスはほぼ完成した物を日本から送ったが、今送っているのは一部の部材のみ。
現場に完成した組み立て工場が稼働を始めている。
もちろん舞姫さまの社は町の中央に建設中。
キャッシーは町建設に際し教会やモスクなど宗教施設は建てないと宣言していて、その条件を呑み地球市民党の理念に賛同した人達が雇われている。
町の産業としては舞姫さまグッズの工場をメインに進めているが、舞姫さまの社を中心とした観光も検討中。

「和馬、中東二か国の後、アメリカのMAIHIME TOWNだけど、姫さまの友達となる様な鳥や小動物はいるのかしら、どちらも緑の少ない土地みたいだから少し心配だわ。」
「そうだな、向こうでペットを用意して貰うか、姫さまとも相談しておこう。
特に中東は言葉の問題も有るから姫さまのストレスに気をつけないとな。」
「三か所とも社のオープンに合わせての訪問だけど、お祭りの話はどう?」
「ああ、それぞれオープニングイベントを企画しているよ、近い内に概要が届くのではないかな。」
「姫さまの衣装をベストにしたいのよね、イベントの概要だけではデザイナーもイメージが湧かないでしょう、取り敢えずデザイナーを送り込んでおいた方が無難よね。」
「だろうな、特に中東は気を遣うべきだろう。
まだ時間は有るから、しっかり準備をしておきたいところだ。」
「そうねスタッフをもう少し送り込んで向こうの雰囲気とか報告して貰うだけでも安心かしら、私達もイスラム圏の人達とは付き合いが無かったから。」
「中東二か国を乗り切り、MAIHIME TOWNで寛げたら良いのだけどな。」
「MAIHIME TOWNと言えばキャッシーも宗教としっかり向き合ってるみたいね。
不慮の事故で亡くなった場合の葬式についてもMAIHIME TOWNの住人となった時点で本人に確認しているのでしょ。
連絡すべき親族なども強制ではないけど住民として登録の際に。
でも、教会やモスクを建てないという条件を呑んだ人達だからと言って葬式とかを考えるとどうなのかしら、微妙じゃない?」
「それについては住民たちが話し合ってるそうでね、舞姫さまの社に冠婚葬祭の施設を併設という話が来ている。
墓についてもいずれ必要になると言う事で検討を始めたそうだ。
自分達の死とも向き合っているのだな。」
「こうなってくると宗教とは一線を画しながらも、ほとんど宗教組織を兼ねているようなものになってしまったわね。
教えは地球市民党の理念、信仰の象徴は舞姫さま。
誰も見た事のない、天国とか地獄の話が出ないのが大きな違いだけど。」
「MAIHIME TOWNの住人たちは、今まで所属して来た宗教での葬式となると聖職者が必要になるが、聖職者の居場所がないということで、新たな葬式の形を考え始めているそうだよ。
姫さまのホログラム映像を利用出来ないか打診して来た。」
「死にそうな人はいないのでしょ、随分気が早いわね。」
「葬式の為だけに宗教、という人もいるのだろう、ならば、そこさえ解決しておけば心の中には舞姫さまがいらっしゃる、既存の宗教抜きで安心出来るのさ。」
「う~ん…、舞姫教とか名乗る?」
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