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社-01 [シトワイヤン-28]

姫さまが宙に浮かびながら舞う映像とともに舞姫フレンズの名は海外でも広がりを見せている、と言っても欧米が中心。
地球市民党として目標に掲げている中東での展開は足掛かりすら作れていないのが実情だ。
姫さまも気にかけて下さって…。

「和馬さん、舞姫の社を中東にも建ててみませんか?」
「そうだな、予算に問題はないが場所がね。」
「都市の近郊に緑化事業と並行して、とイメージしているのですが。」
「う~ん、ダメ元で募集という情報を流してみましょうか、中東では姫さまの認知度が低いので難しいかも知れませんが。」

早速、スタッフに指示を出し動いて貰ったのだが反響はなかった。
だが諦めかけ他の手を考え始めていた頃、具体性の有る二件の問い合わせが相次いで寄せられた。
国の王子と実業家、どちらも、たまたま滞在していたパリで姫さまの祝福を感じた人だ。
問い合わせまでに時間が掛かったのは彼らなりに調査や準備をしていたからとのこと。
当人達が舞姫フレンズだと名乗る。
宗教と一線を画している状態なら建設は可能、費用も負担する、勿論姫さまに来て頂きたいと。
早速二か国へスタッフを送り込み調整を始める。

「姫さま、日本はキリスト教ではないので話が早いそうです。
姫さまの舞が神楽に由来していても何ら問題ない、もし、キリスト教に由来していたら協力どころか攻撃対象になっていてもおかしくないと。」
「一部のイスラム教徒は過激なのですね。
それで緑化事業込みでの建設は進みそうですか?」
「緑化は利益に繋がらないと言って来ましたが、舞姫さまの社を中心に大きな公園として整備、新たな観光地とする案を提示しました。
初期投資は海水淡水化装置関連など、かなり掛かりますが、イスラム圏に二か所の拠点が築けるのであれば安いものです。
姫さまのDVDなどグッズも売れる様になりますので。」
「勝算は有るのですね。」
「はい、キャッシーも乗り気です、ただ、結果が出て来るまでは裏方に徹すると話していました。
アメリカ資本を動かすより日本の方が絶対上手く行くだろうと。
舞姫さま専用機のテストフライトが終了したら、漠然と海外旅行とだけ決めてあったスケジュールを中東の二か国としても良いですね。
舞姫さまの社だけを小規模で建設するのなら日程的に充分間に合います。
姫さまご訪問の後、施設を拡充拡大、周辺の緑化を進め公園化という流れで如何でしょう。」
「良いですね、緑化事業は大学の研究室にも参加して貰いましょう。
予算が足りなければ私のお小遣いから出しますよ。」
「その必要はないですが、姫さまが個人的に費用を出される、ということは良いアピールになると思います。
新作DVDも勢い良く売れてますので、大きな投資も可能です。
緑化事業のコストは公園の売り上げでカバー出来るとは考えにくいですが、これを切っ掛けに中東で姫さまグッズの売り上げが伸びればトータルでカバー出来ると思います。」
「中東に足掛かりが出来るのであれば、マイナスでも構いませんね。
世界のトータルでプラスになれば良いのですから。」
「でも、愛華はCitoyenブランドの中東向け商品開発を指示してマイナスにする気はなさそうです。
清香も、ユニットハウスの中東向け仕様を考えていますし。」
「エアコンの効きを良くする工夫とかですか?」
「地下室仕様を社の地下に、地上の工事が進む前に地下迷宮を作っておきたいとか。
スタッフ達が盛り上がっていましてね。」
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