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パリ-18 [シトワイヤン-26]

パリを離れる日、パリ市民とお別れする会が広場で行われた。
今回、宗旨宗派入り乱れての祈りの輪は警備要員によって何時もより広げられた。
開始予告時間の一時間ほど前、舞姫さまは私達から離れると空に向かって手を振った。
その方向に目をやるとタカだろうか、かなりの高空を飛んでいたが、姫さま目掛けて一直線に舞い降りて来て近くに着地。

「ホントに呼び寄せるのね、会話してるのかしら。」
「あっ、飛び立った、あのサイズの鳥が空を舞う姿は素敵ね。
まるで観衆にその姿を見せびらかしているみたいだわ、人間を恐れていないのかしら。」

「あ~、行ってしまったな、他に鳥は…、この辺りは鳥が少ないのか…、今の一羽がいたからかな。」
「食物連鎖のピラミッドでは上の方に位置する存在だものね。」

姫さまは、タカが飛び去った方角を見ているが、しばらくすると、その方角から小鳥の群れがやって来た。

「この群れも呼び寄せたのかしら。」
「鳥たち、やはり観衆のことは気にしていないみたいだな。」
「小鳥達が、姫さまの指示に従って飛んでいる様に見えます。」
「智里、姫さまはずっとこんな遊びをしてたの?」
「戯れる様になったのは中学生になってからです、どれぐらい意思疎通が出来てるのか私には分かりません。」
「タカ一羽だけなら鷹匠という存在もいるが、野鳥の群れを操るのはな…。」
「普段から動物と会話を?」
「会話っぽく見えるのは清香村の別荘に住み着いてるフクロウとですね、蛇は何も考えてなさそうです。」
「別荘には色々住み着いてるのか?」
「ええ、万里が許可を与えた子達です、リスとかコウモリとか。」
「飼ってるの?」
「餌を与えてませんので飼ってると言えるのかどうか、住まいを提供していますが拘束している訳でも無くて、万里は動物園が嫌いなんです。」
「あっ、分かる気がします、檻の中の動物は、もの悲しさを感じさせますもの。
それと違って野生の生き物は…、清香村へ行くとリスや小鳥が出迎えてくれますが、舞姫さまの指示に従っているのでしょうか。」
「どうでしょう、村人たちは現代の桃源郷だと話していますね、都会暮らしに疲れて移り住んだ人達は舞姫さまに癒されて、清香さん、万里が長期不在でも変わりはないのでしょうか?」
「ええ、テレビで姫さまの動向を楽しんでるそうです、この光景も情報番組で流されるでしょう。」

そんな会話をしていると、小鳥たちは一直線になり舞姫さまの横を通り過ぎてから飛び去って行く。
これが舞姫さまがパリで起こした最後の奇跡、野鳥を使ってのパフォーマンスは手品師でも無理だろう。
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