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パリ-05 [シトワイヤン-25]

ヨーロッパ旅行の日が近づくにつれ、アメリカの運営スタッフサイドから頻繁に連絡が入って来る。
重要な情報は私のスタッフにも入れて貰っているのだが、とにかく舞姫さまを一目で良いから見たいという声が多いそうだ。
ヨーロッパでもDVDが売れ続けていている。
最新作は癒しの効果が口コミで広がり、そこに鎮痛効果が有るなどの情報が流れ、試した結果の報告が売れ行きを加速させた。
その舞姫さまの訪問とあってネット上の盛り上がりも半端なく、警備上の問題が浮上して来た。
キャッシーは運営スタッフを増員して事に当たらせていたのだが…。

「万里ちゃんは普通の観光、出来そうにないわね。」
「だな、各地のテレビ局で奇跡の舞姫として紹介され、ポスターもかなりの売れ行き、もうかなり顔を知られているそうだ、気軽に歩けないだろう。
愛華の方は準備、大丈夫なのか?」
「当初、場面ごとに着替えて貰ってCitoyenブランドの宣伝、と簡単に考えてたスタッフが、警備の人員も巻き込んで姫さまの演出を企んでいて、そこの調整が間に合うかどうかってとこね。」
「間に合わない可能性も?」
「間に合わないと言うか、舞姫騎士団向けにデザインしてたものから実用性を重視して準備を始めたら、警備体制に変更、さすがに民間ではない警察官の制服を舞姫の衣装に合わせてくれとは言えないでしょ。
でも、それなりの正装で任に当たって下さるとの情報が入って、その正装に合わせた舞姫の衣装とか考えてるデザイナーもいてね。」
「時間的に大丈夫なのか?」
「間に合わなかったら開き直って当初の計画に戻すよう、指示を出してあるわ。
どうなっても、終わった後の休暇は存分に楽しみなさいともね。」
「みんな舞姫さまが大好きなんだろ。」
「ふふ、私達の周りに大好きでない人いたかしら?」
「そこが逆に心配なんだ、自称ファンによって傷つけられたりとか、日本ではファンのマナーが最高に良いから油断してないかな。」
「そうね、同行する人達全員に対して…、智里さんから話して貰いましょう。」
「まあ、適任だな、アメリカ旅行の頃とは状況が違って来ている…。」
「ファンの人数をどうカウントすれば良いのか分からないけど、世界の人口、その一%は確実に越してると思うわ。」
「ほとんどが舞のDVDだけの力だからな、やはり姫さまは人間を超えた存在だよ。」
「それを感じてる人達が一目みようと集まりそうなのよね、心配なのは過激な宗教活動家、ネット上では舞を見たことも無い様な人達が動き始めてるでしょ、テロとかないわよね。」
「警備計画の変更は各国のお偉いさん達がDVDを見て指示を出し始めたのだろ、それで外国の要人を迎えるレベルまで警備が強化されてるという、それを信じるしかないな。
警護メンバーは命に代えても舞姫さまをお守りすると話しているし。
昔のお姫さまも、そんな感じで守られていたのかな…。」
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