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舞姫-07 [シトワイヤン-24]

少年院を訪問したことで、社会問題に対する向き合い方が自分の中で少し変わった。
犯罪に関わった人との対話から、それまで文字情報としてだけ捉えていた社会問題が身近なものとなった気がしている。
今後は、伝え聞いた話であっても、自分で整理し自分に出来る事を考えて行こうとは思うのだが…。

「ねえ、お姉ちゃんは本間市長を手伝いながら市の問題、社会問題とも向き合って来たのでしょ。」
「そうね、高校を卒業してからは、少し難しい案件にも関わらせて貰ってるわよ。」
「チーム再起動の取り組みは、これからだけど…、私、市民として充分活動出来てないよね。」
「どうしたのかな、珍しく弱気なこと言って。」
「何も知らない私が、過大評価されてる気がして来てさ。」
「知らない?」
「薬物中毒の事とか何も知らなかったの。」
「それは仕方ないわよ、闇を抱えてる人全員を万里が簡単に救える訳ではないでしょ。
それでも、万里は自分の事を過小評価し過ぎてるわね、この瞬間にも世界中で万里の舞姿をDVDで見てる人がいるのよ。
そこから癒しを得ている人達の話はキャッシーから沢山届いているでしょ。」
「そうね、でも、実際のところは良く分からないわ。」
「この間、本間さんと世界情勢の話をしたのだけどね、世界が平和になる事は、各国の利害関係や国民性、主義主張を考えたら有り得ないだろうって。
でも、舞姫が舞姿を披露し続けたら、そんな国際社会でも、ましな状態になるかも知れないと、本間さんは真面目な顔して話して見えたのよ。」
「私にそんな力はないのだけど。」
「どうかしら、舞姫は異例な存在、映像作品が売れまくってるだけでもね。
キャッシーから、ヨーロッパでも噂が広がり始めてるからと、ヨーロッパ旅行の打診が来てたでしょ。」
「うん。」
「舞姫の癒しパワーは歳を重ねれば衰えると勝手に言ってる人がいるけど、今はそれが有ると信じて話してる訳なのよ。
そのパワーを無理のない範囲で世界中に振りまいて欲しいというのが、私達、舞姫騎士団の思いなの。」
「そのパワーというのがね…、まあ、小学生の頃より気持ちを込める様にしてるからか、舞を舞うととても自分のパワーを消耗するのは事実なんだけど。
それで、ヨーロッパ旅行、お姉ちゃんはどうするの?」
「勿論、苗川の魅力を伝える役目を果たしに行くわよ、市民政党若葉や地球市民党が絡んだ話になるからね、万里は気が進まない?」
「そんな事はないけど…、私って…、戸惑いながらがも舞姫を演じて来たのだけど…。」
「キャッシーはね、本当の奇跡を見せて、変態聖職者の宗教に一撃を食らわせてやりたいとか言ってたわよ。」
「え~、何それ。」
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