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舞姫-04 [シトワイヤン-24]

チーム再起動の活動と並行して進んでいるのが大学生向けのインターンシッププログラム、夏休みを利用した企画には、すでに多数の応募が有るそうだ。
その高校生版は高校生部会が検討していて、企業サイドと交渉中。
ただ、企業として早めに繋がりを深めたいのは、将来的に業務の中枢を担ってくれそうな人で有り、高校生に対しては消極的。
それでも、高校生部会で研修を行い、そこで意欲を確認できた者を受け入れて貰う方向で話は進んでいる。
本当は、意欲の弱い人にこそ、こういった企画を体験して欲しいと思うのだが、企業サイドにしてみればそんな高校生は迷惑でしかない。

「お姉ちゃん、学校の成績が悪く、企業体験に興味が無く、将来のことを考えてない人は犯罪者になる確率が高くなると思わない?」
「そうね、高卒で何となく就職して、直ぐにやめてしまった人達はどうしてるのかしら。」
「楽して稼ぐ道に誘われて詐欺グループの一員になったりしかねないよね。
少子化で絶対数の少なくなってる若者が犯罪者になってしまうのは嫌だな。」
「舞姫さまから呼びかけてみる?」
「どういう風に?」
「高校へ進学しなかった姫さまが何をしてるのか、世間の人達は気になってると思うわよ。
和馬さんと相談して、チーム再起動関連の近況報告から、皆さん真面目に将来の事を考えましょうってアピールしてはどう?
先生の言う事は聞かなくても、舞姫さまのお話なら聞き入れられると思うわ。」
「そんな簡単な話じゃないでしょ、私はその対象となりそうな人達とはあまり話したことないし…、私の中学で学力の低かった人でも…、参考にはならないでしょ。」
「そうね、私達が校風を変えて来て…、高校の同級生から聞いた話からすると、私が通ってた頃でさえ、他校と比べてとても平和な中学。
先生からも、万里が入学して更に穏やかになったって聞いたことがあるわ。
中退したくなる高校の実態を万里が想像するのは難しいかもね。」
「直接色々な人と会って、お話を聞くべきかしら。」
「う~ん、奴らも舞姫さまの前では大人しいと思うから、高校生部会のスタッフと相談してみようか。」
「うん、伝聞だけで話すのは間違いの元だと思う。
週一ぐらいのペースで色々なタイプの人と話してみたいかな、怖い人の時はお姉ちゃんも来てね。」
「はいはい、そっちは任せておいて。」
「でも、逆にビビらせないでね、お話を聞けなくなっちゃうから。」
「分かったわ、気を付ける、万里に怖い思いをさせる様な奴は苗川へ遊びに来れなくすれば良いのね。」
「そうじゃなくて~、今、他事考えてたでしょ。」
「うん、やんちゃしてた後輩達がどうしてるかなって。」
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舞姫-05 [シトワイヤン-24]

正直言って俗に不良と呼ばれる人達と話した事はなかった。
そもそも、そういう人はお話上の存在で有り、私にとって現実感は皆無。
私の周りの人達はみんな優しい人ばかりだ。
本間塾長は怒ると怖いそうだが、私は笑顔の本間さんしか見たことがない。
親に強く怒られたこともなく…、まあ、怒られるのは姉の役目なのだが、それも、私の前ではやんわり窘められる程度だった。
至って平和に生きて来たのが、不思議な子と言われる事に関係してると分かるまで随分時間が掛かった。
私にとっての普通は、他の人にとって必ずしも普通ではない。
姉から伝え聞かされて来たヤンキーなる人種も、私にとってはお話の登場人物に過ぎない。
そんなことも有って、私の視野を広げる、という名目で姉が高校生部会スタッフとセッティングしてくれた高校生達との時間は楽しかった、世の中、実に様々な人がいるものだ。
高校生部会は、私と会って話してみたいという人をアンケート付きで募集、アンケート結果から応募者を幾つもの条件によって分類、分類された各個で抽選という、いささか面倒では有るが、確実に私が色々なタイプの高校生と話せる形にしてくれた。
勿論、スタッフ自身の研究目的でも有る。

「万里ちゃん、『舞姫、高校生と語らう』読んだよ、面白かったけど映像でも見たかったな。」
「カメラが入ると緊張する人が多いそうで、和馬さんとは違うのですよ。」
「はは、でも中には目立ちたがりもいたのでは?」
「はい、色々な人と会いましたが、目立ちたがり屋の共通点は周りを白けさせるですね。」
「分かる気がする、文章は高校生部会のスタッフがまとめたのだろ、万里ちゃん自身はどんな感じだったの?」
「そうですね、卒業後の進路を勝手に心配してた『学校の成績が悪くて』みたいな人達が意外と考えていたのは発見です。」
「へ~、そうなんだ。」
「大学進学という選択肢が無い分、職業選択の幅が広くて、そうですね、大卒者が初めからはあまり選ばない職業をイメージしている人が何人もいました。
トラック運転手とか建設作業員とか、仕事の内容は親や親戚から聞いているそうで。
バカでも出来る仕事なのだけど、ホントのバカでは駄目なんだとか、でも高校の授業内容は役に立たないと親に教えられ、高校は卒業出来れば良いから、男は内面を磨けと言われてる人とかいましたよ。」
「内面の恰好良い大人になれということかな?」
「はい、今回お会いした皆さんは、私の卒業した中学出身者を除外してるのですが、苗川市民としての理念は思っていたより広がっているようです。」
「私は知ってたよ、家を出る前に万里ちゃんのポスターを見て、今日も恰好良く有ろうと誓ってる人とかいただろ、結構多いと聞いているのだが。」
「いましたね…、ご家族含め、恥ずかしくなるような…。」
「毎朝、手を合わせて拝んでる人とか、辛いことが有ったら万里ちゃんのDVD見て癒されるとかでしょ。」
「はい、お役に立ててるのなら嬉しいのですが、今回は私のファンから抽選でしたので、多少話が大袈裟になっていたと思います。」
「気になる人とかいなかった?」
「そんなに問題のなさそうな、成績的には中間の人達に、迷ってるとか将来が見えてない人が目立った気がします。
就職をイメージ出来ていない状態で、大学進学をどうするか。
親から勉強しろと言われても出来ないとか。」
「犯罪に手を染めそうな人は?」
「そこまでの人はいませんでした。
スタッフの話では、私のファンにはおバカなことをする人はいても、犯罪に関わりそうな人はいないと、ホントはそういう人とも会わせてみたかったとかで。」
「万里ちゃん的にはどうなの、そういう人とも話してみたい?」
「はい、機会が有れば、どのような人が犯罪を犯すのか知っておきたいです。」
「少年院への慰問とか、どうだろう?」
「少年院ですか…、更生施設ですね…、どのような手続きをすれば良いのか調べてみます。」
「いや、番組の関係で知ってる所が有るんだ、法を犯すとどの様な生活が待ってるのか、子ども達に伝えて行くべきだからね。
もし良かったら調整させるけど。」
「お願いします。」
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舞姫-06 [シトワイヤン-24]

少年院への訪問が決まるまでに時間は掛からなかった。
和馬さんは、高校生部会がサイトに掲載した『舞姫、高校生と語らう』に目を通した時から、取材も含めて考えていたのかも知れない。
慰問先は女子の為の施設。
疲れない程度の時間、舞を披露し歌を歌わさせて頂いた。
入所者と施設内ではゆっくり話せないので、取材スタッフが探して来た、最近までそこで暮らしていた方々から別の場でお話を伺ってきた。

「万里ちゃん、慰問とかどうだった?」
「施設の中だからかも知れませんが、極、普通の人達でした。
職員の方や最近出所された方々から色々な話を聞かせて頂きましたが、犯罪への道は環境に因る所が大きいのですね。」
「だろうな、何時も万里ちゃんといたら悪い事をしようとは思えないのだがね。」
「そうなのですか?」
「ああ、君の慰問先で取材を続けてるスタッフから報告が入ってね。
舞姫の姿に涙していた連中は、その後、落ち着いて更生プログラムに取り組んでるそうだよ、職員が驚く程にね。
作文では、万里ちゃんをどう表現したら良いのか戸惑ったみたいで、初めて女神様を目にしたと表現し、心が洗われましたと書いた人もいるそうだ。
私達が日頃感じている万里ちゃんのオーラを彼女達も感じたのだろう。
所長さんからは額縁に入れて飾る写真の注文が入ったそうだが、それだけでも異例の事らしい。」
「皆さんは写真撮影そのものが出来ない環境みたいでしたね。」
「万里ちゃん的には普段通りだったの?」
「はい、特別な人達では有りませんので。」
「ねえ、この前、学校の成績は悪くても進路の事は考えてる子の話が出てたよね、彼女たちはどうだと思う?」
「将来の事を考えるのも更生プログラムの一環みたいですので、沢山考えていると思います。
ただ、就職の選択肢は若干狭くなるみたいです。」
「まあ、やむを得ないのだろうね。
ただ、女の子は更生出来る子が少なくないみたいだから周りが気を付けていれば大丈夫なのかな。」
「みたいですね、でも薬物中毒とか、親の虐待からおかしくなる人もいるそうで、中毒から抜け出せなかったり、心の傷が癒されないまま不幸から抜け出せない人もいるそうで。
うんと遠くて現実にそんな事が起きてるのか信じられなかった事の当事者から直接話を聞かせて頂いて、考えさせられました。
ただ、私に話して下さる皆さんは、どこにでもいる穏やかな感じの人達でしたよ。」
「まあ、普段はそうだろうし、万里ちゃんの前なら尚更だろう。
君だって自分に対して悪意を向けられた経験は有るだろ、そんな時の反応が違うんじゃないのかな。」
「えっ? 悪意って?」
「誰かから泣かされたとか。」
「えっと…、喧嘩してる子達は見た事有りますが、一つのレクリエーションですよね。」
「姉妹喧嘩とかはしないの?」
「え~、すると思います?」
「仲が良くてもするものなのだが。」
「そういうレクリエーション、うちでは…、姉はご存じの通り裏表の無い人で、妹ととも…。」
「誰かと喧嘩した事はないの?」
「自分では有りません、姉が男の子たちとやり合うのは見てましたが、じゃれ合ってる様なもので。」
「う~ん、やっぱり君は不思議な子だよ。」
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舞姫-07 [シトワイヤン-24]

少年院を訪問したことで、社会問題に対する向き合い方が自分の中で少し変わった。
犯罪に関わった人との対話から、それまで文字情報としてだけ捉えていた社会問題が身近なものとなった気がしている。
今後は、伝え聞いた話であっても、自分で整理し自分に出来る事を考えて行こうとは思うのだが…。

「ねえ、お姉ちゃんは本間市長を手伝いながら市の問題、社会問題とも向き合って来たのでしょ。」
「そうね、高校を卒業してからは、少し難しい案件にも関わらせて貰ってるわよ。」
「チーム再起動の取り組みは、これからだけど…、私、市民として充分活動出来てないよね。」
「どうしたのかな、珍しく弱気なこと言って。」
「何も知らない私が、過大評価されてる気がして来てさ。」
「知らない?」
「薬物中毒の事とか何も知らなかったの。」
「それは仕方ないわよ、闇を抱えてる人全員を万里が簡単に救える訳ではないでしょ。
それでも、万里は自分の事を過小評価し過ぎてるわね、この瞬間にも世界中で万里の舞姿をDVDで見てる人がいるのよ。
そこから癒しを得ている人達の話はキャッシーから沢山届いているでしょ。」
「そうね、でも、実際のところは良く分からないわ。」
「この間、本間さんと世界情勢の話をしたのだけどね、世界が平和になる事は、各国の利害関係や国民性、主義主張を考えたら有り得ないだろうって。
でも、舞姫が舞姿を披露し続けたら、そんな国際社会でも、ましな状態になるかも知れないと、本間さんは真面目な顔して話して見えたのよ。」
「私にそんな力はないのだけど。」
「どうかしら、舞姫は異例な存在、映像作品が売れまくってるだけでもね。
キャッシーから、ヨーロッパでも噂が広がり始めてるからと、ヨーロッパ旅行の打診が来てたでしょ。」
「うん。」
「舞姫の癒しパワーは歳を重ねれば衰えると勝手に言ってる人がいるけど、今はそれが有ると信じて話してる訳なのよ。
そのパワーを無理のない範囲で世界中に振りまいて欲しいというのが、私達、舞姫騎士団の思いなの。」
「そのパワーというのがね…、まあ、小学生の頃より気持ちを込める様にしてるからか、舞を舞うととても自分のパワーを消耗するのは事実なんだけど。
それで、ヨーロッパ旅行、お姉ちゃんはどうするの?」
「勿論、苗川の魅力を伝える役目を果たしに行くわよ、市民政党若葉や地球市民党が絡んだ話になるからね、万里は気が進まない?」
「そんな事はないけど…、私って…、戸惑いながらがも舞姫を演じて来たのだけど…。」
「キャッシーはね、本当の奇跡を見せて、変態聖職者の宗教に一撃を食らわせてやりたいとか言ってたわよ。」
「え~、何それ。」
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舞姫-08 [シトワイヤン-24]

舞姫と呼ばれることに抵抗感がなくなったのが何時頃なのかは自覚していないが、姫と呼ばれても、自分を変える事はしないでおこうと心に決めたのは覚えている、人から不思議な子と言われていたものの、自分的には普通の小学生だったと思う。
それが、姫と呼ばれることが定着した頃からか、本人は無自覚の無意識なのだが、優雅さが増したと言われる機会が増えた。
まあ、身近に、がさつな人がいる事も関係しているのだろうが。

私の舞は、人に安らぎを与えるという。
小学生の頃、その効果は歳を重ねると共に衰えるだろうという人が少なからずいたそうだが、その予言は外れたようで、姉は最近になって力が増して来てると言うが、実際、映像作品の売れ行きとして如実に現れている。
そのお蔭で、常に新作を求められているのは微妙な話。
作品の制作はスタジオの環境さえ整えてくれれば至って簡単なのだが。
鈴や鼓を持ち、舞う姿を撮影して貰うのが私の役割。
長めの休憩を入れても、半日で撮影終了、後は編集スタッフ任せとなる。
舞は冒頭部分と終了部分のみ定型だが後はすべて即興なので、同じ舞を舞う事は出来ない。
練習は一切しない、ぶっつけ本番、NGなしなのは撮影スタッフにその判断を下せる人がいないからだ。
こうして完成したDVDとかが、世界中で莫大な本数売れている訳で、こんな美味しい商売はないと思う。
ただ、舞をDVD一枚分収録をするとへとへとになる。
舞自体には、早い動きも激しい動きもないのだが…、いやゆっくりだから一切の誤魔化しが効かず、精神的な疲労に繋がっているのかも知れない。
神憑り的と言われ、何者かが乗り移った感覚なのか問われることも有るが、それはない。
表現者として、神から視聴している人へのメッセージを舞で表していると、本人は思っている。
兎に角、作品として残せるものを舞うと体重が減り、しばらく体が重いのが舞の回数を制限している理由で有り、身長が伸びない原因かも知れないと個人的に考えている。

元は神事に由来する舞だが、私にとってのイメージは漠然としていて特別な宗教的意味合いは考えていない。
だが、人の心に影響を与えているという事で、私と私の舞について研究を始めた人達の中には、宗教的なアプローチを試みている人もいる。
何故か信仰の対象とも言える状況になってしまってから、私自身も宗教について考えているが、キリスト教徒で有るところのキャッシーは大いに考えたという。
彼女にとっての信仰は自発的な信仰心によって始まった訳では無く、家庭の環境に由来する。
信仰に厚い人達はそういうものだろう。
キャッシーにとって幼い頃から何の疑いもなかった信仰心が、私の舞を目にして変わったという。
そんなキャッシーも含め、私の周りの人達と宗教について語り合うことが有るのだが、様々な形で信仰されている宗教とはとても不思議な存在だと改めて思う。
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舞姫-09 [シトワイヤン-24]

チーム再起動メンバーとは。

「皆さんは宗教について考えた事、有りますか?」
「えっ、宗教ですか、お葬式や法事の時くらいでしょうか。」
「私、法事の時に神社とお寺の違いが良く分かってなくて、親戚の叔父さんに笑われました。
姫さま、どっちもお賽銭箱が置いてあってお願いするのだから同じ様なものだと思いませんか?」
「そうですね、私は神社のお祭りに関連して舞を舞ったりしてますので多少の理解は有ります。
神様にお願いする神道の神社、釈迦の教えによる仏教。
どちらも宗教ですが、大きく二つの宗教が共存してる国って珍しいのですよ、同じ人が双方にお賽銭を入れてるのですから。」
「葬式仏教という言葉を聞いたことが有ります、死に関連した商売だと揶揄する人もいるのですよね。
葬式はお寺、結婚式は神社とか使い分けているのでしょうか?」
「神社にお願いしても救われなかったから、仏の教えにすがったとか…。」
「自分は仏教の思想を政治利用したと、学習した様な気がします。
しかし、世界三大宗教と言われているものは宗派とかやたら多いですよね。
宗派間の対立が有り、釈迦やキリストは泣いているんじゃないでしょうか。」
「結局は私利私欲の世界だわ、宗教の教えは良く分からないけど。」
「分からないと言えば、宗教上の戒律とかは意味不明です、どうしてそんな定めが有るのか、指導者の気分とかで作られていそうなのも有りますよね。
それを守る守らないと、色々な解釈で争って多くの人を不自由にしていることを考えると、宗教って何? となります。」
「宗教によって安らかな日々を送っている人もいるのでしょうが、自分たちは宗教上の教えというより…、今の日本人って信仰心は弱い気がするけど真面目な人が多いと思います、特に苗川は市民政党若葉が目指している社会、その一員であろうと皆が考えているからかも知れませんが。」
「死後について適当な作り話を聞かせて貰って安心するのが宗教だとしても、生きてる間は社会のルールを守って助け合いながら生きて行けば良いのであって、案外、葬式仏教程度が害もなくて良いのかも、私達には舞姫さまが居て下さいますし。」
「姫さまをお慕いする人達が、世界中に増えてるそうですが、姫さまを中心とした一つの宗教、という捉え方をしても良いのですか?」
「いいえ、そんな話が出た事も有ったのですが、宗教法人を立ち上げる気は有りません。
特定の宗教に属していないからこそ、どんな宗教の方にも受け入れて頂けるのです。
市民政党若葉や地球市民党の象徴という立場は有りますが…。
ただ、社会集団の肩書が政治団体なのか宗教団体なのか…、政治団体で有っても、そこに参加してる人の意識は宗教団体のそれと大差ないかも知れません。
信じるか信じないかの世界だと思いませんか、特定の政治家を妄信している人もいる訳ですので…。
皆さんも私に洗脳されているだけなのかも知れませんよ。」
「う~ん、世界中の人が姫さまに洗脳されたら、世界はもっと平和になるのだろうな…。」
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舞姫-10 [シトワイヤン-24]

少年院訪問の後、本間さんとも相談して苗川市内の社会福祉施設を訪ねている。
社会的弱者の方々と直に交流させて頂くことが目的だが、これが改めて舞姫としての自分を見つめ直す機会となった。

「姫さま、今日は有難う御座いました。
気難しいお年寄りもいますので、館内がこんなにも暖かい雰囲気になったのは初めてなのですよ。
一度も笑顔を見せた事の無い人が微笑んでいたって職員たちも喜んでいました。」

こう語ったのは老人福祉施設の所長。
そう言われても普段を知らないので良く分からないし、そもそも、気難しいお年寄りというのに心当たりはなく、言葉として知っているだけだ。
だが、この施設では、やたら拝まれた。
今までも高齢者から拝まれる事は有ったのだが、施設では高齢者の人数が多いので特に目立ったのかも知れない。
さすがに…、生き神様と言われても実感はないのだが。

盲学校へは少し身構えて訪問した、歌も歌っているが舞姫というのが私の通り名であり、舞は視覚情報だ。
担当者に案内され、数人の生徒が談笑している部屋へ通される。
彼等に私の訪問を事前に伝えないで貰ったのは、自分のコミュニケーション能力を鍛えるつもりだったから。

「先生、耳慣れない足音の人と一緒だけど…。」
「珍しくお客さんなのね、優しい感じ…。」
「あれっ、僕、知ってるよ、鈴の音を鳴らしたり、鼓を叩いたり、お母さんが舞姫さまって教えてくれた。」
「もしかして、舞姫さまがそこにいらっしゃるのですか、私も親がDVDを見てる時に暖かさや優しを感じているのですが、何と言えば良いのか…。」
「俺達の中で一番見える浩二としてはどうなんだ?」
「舞姫さま以外にこんな不思議な人はいないだろ、先生、早く紹介して下さいよ。」
「姫さま、よろしいですか?」
「はい、皆さん、初めまして、舞姫こと鈴木万里です。」
「とりあえず嬉し過ぎて、泣いても良いですか?」
「ふふ、どうして私だと分かったのかな?」
「舞姫さまのDVDは特別なんです、所謂五感とは違うものが…、そうですね、私の場合は暖かく包み込んでくれる波動を感じるのです、今はそれが…、心地良すぎて。」
「姫さまは自分達の為にこの感覚を届けて下さっているのでしょうか?」
「う~ん、困ったな、私はすべての人に幸有れと思っていますが、特別な感覚や感情ではないのです。
何時もと同じ様に皆さんとも親しくなれたら嬉しい、という程度です。
でも、自分は舞という視覚情報によって支持されてるのだと思っていましたので、皆さんのお話は興味深いです。」
「そっか、ご本人も気付いてなかったんだ。」
「ふふ、そうね、私はね、不思議な子と言われてたの…。」

そのまま彼らと話が弾んだのは、私自身良く分かっていない私の力のことが少し知れたから。
彼らが感じているものを教えて貰いながら、ハンディを持って生きている彼らに幸多からん事を心の底から祈っていた。
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パリ-01 [シトワイヤン-25]

我らが舞姫の謎、その一端が盲学校の生徒によって明らかになった。
と言っても、彼女の力が科学的に解明された訳ではない。
舞の効果は…、万里があえて盲学校の生徒を前に舞ってみた結果、彼らの感じる力は高まったという。
私達はDVDにより舞姫の人気が広まっているという事実から、舞を視覚的に捉えた効果が人々に安らぎを与えていると、実際には盲学校の生徒と同じ様に感じていても、それは舞姿の美しさに起因すると無意識に判断していたのだと思う。
視覚による効果、その大前提が崩れ、舞姫の謎は我々の科学力では解き明かせないのだと思う。
神の領域。

「本間さんは、舞姫さまの能力、どう思います?」
「どうと言われてもな、和馬、私は彼女から人ならざる神聖なものを感じていたんだ。
そして、言葉は悪いがそれを利用させて頂いて来た。
苗川の今が有るのは万里ちゃんによるところが大きいと思わないか?」
「いえ、やはり本間市長のお力だと思いますよ。」
「私の功績は万里ちゃんと仲良くなったことだよ。
普通、市民教育を進めようとしても、私利私欲の人達に妨害され、ここまでは広がらないと思うんだ。
世の中を軽く眺めただけで性善説なんて簡単に吹き飛ぶだろ。
だが、苗川は違う。
あちこちに舞姫さまの写真が飾られる様になり、誰もが内面の格好良い人間を目指している。
社会が良くなるには社会の構成員が良くなる必要が有る訳だが、それを推し進めたのは他ならぬ舞姫さまだよ。
市民政党若葉、そのスタートの段階で苗川市民のレベルが高かったのは、万里ちゃんがいて智里がいたからなんだ。」
「そう言われてみると、自分達が苗川に住みたいと思ったのも間接的には万里ちゃんの影響を受けていたのかも知れませんね。
それで、今後については何かお考えが有るのですか?」
「まあ、ご本人にお任せだが、キャッシーが進めているパリでのイベントは大規模なものになるのだろ?」
「ええ、会場自体は然程広くないのですが、地球市民党関連で世界中の放送局がイベントの模様を放送する事になっています。
万里ちゃんがイベントの主役として歌と舞を披露してくれたら、一気に地球市民党を大きく出来るだろうと目論んでいるみたいですね。」
「彼女が過労にならないように気をつけて欲しいが。」
「ですね、我々の宝だということは皆さん理解されてるとは思うのですが。
彼女はヨーロッパ旅行について、何か話していましたか?」
「ああ、楽しみにしてるみたいだよ。」
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パリ-02 [シトワイヤン-25]

本間市長は、本間塾塾長として万里の環境を整える様に指示を出している。
中学を卒業してから彼女が正式に所属しているのは本間塾だけで、彼女自身も本間塾塾生という肩書を気に入ってる様だ。
勿論、本間塾長が付きっ切りで指導する訳ではないのだが…。

「我らが舞姫さまからはフランス語とドイツ語の先生をという話が出たので、そのまま旅行に同行させることの出来るフランス人とドイツ人を探させて苗川に呼び寄せたよ、二人ともメロディ言語も使える人でね。」
「英語だけでも旅行に支障は有りませんよね。」
「言語に対する興味は前から有って、この機会にヨーロッパの言語を研究するおつもりなんだ。
ただ、旅行後に使う機会が無いと面白くないそうで、フランス語やドイツ語の歌に挑戦してみようかな、なんて話してたよ。」
「自由に学習してるという感じですか?」
「ああ、いい形になってると思う。
講師陣は高給でレベルの高い人を揃えた、舞姫さまの稼ぎなら安いものだからな。
語学講師たちとは言葉だけでなく国による文化の違いや、フランス人が市民革命をどう受け止めているといった話もしているよ。
他の講師たちも舞姫さまが上手に使いこなしている感じかな。」
「時間的に窮屈とはなってないのですよね?」
「学校ではないからな、姫さまの気分に合わせれば良い訳で、盲学校への道中が語学学習の時間だったりするのさ。」
「場所も選ばない訳ですね、盲学校へは良く行ってるのですか?」
「ああ、生徒に手伝って貰って、自身の能力について研究してるそうだ。
それがね、大きな声では言えない事なのだが…。」
「何か問題でも?」
「まだ、数回通っただけなのだが、視力に改善の兆しが出てる生徒が複数いるそうだ。
舞姫さまの姿を見ようと頑張ってるからという説が有るそうだが、一応眼科医と連絡を取りながら、箝口令を敷く方向で関係者に話を通して貰ってる。」
「もし、姫さまに医学的能力が有ったら、という事ですか…。」
「そうなら奇跡だが、有り得ない話ではないだろ、舞姫さまのDVDを見てると足腰の痛みが和らぐといった話は多いからな、でも、それは単に気分的な問題だと思っていた。
ホントに治療効果が有るとしたら。
今まで彼女の周囲に病人がいなかったら気付かなかったのか、彼女が近くにいるから病気にならなかったのか。
小中学校在籍時のデータなども検証する必要が有ると思わないか?」
「確認だけはしておきたいですが、万里ちゃんはそのことについては何か?」
「うん、盲学校での話を聞かせて貰った時、それに対して人がどういう反応をするのか、可能性を説明したら、箝口令の話は納得してくれた。
病人は数えきれない程いるからな。」
「科学的に分析したいという学者が現れそうですが。」
「前に日米のチームで調べた時は何も分からなかったのだろ。」
「はい、ただ、あの時は舞を視覚情報として捉えていましたので、アプローチを変えれば違って来るかと。
でも、彼女を疲れさせるだけになる様な気がします。」
「そうだな、病は気から、舞姫さまの存在が気分を変え、たまたま痛みなどの症状が軽くなった、視力に影響を与えたと、落としどころはこの辺りにしたいものだ。」
「舞姫さまが嫌な思いをされ、お疲れになられたら、そのパワーが弱まってしまう、という事にでもしておきましょうか。」
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パリ-03 [シトワイヤン-25]

万里は会う度に綺麗になったと思わせてくれる。
今回は少し間が開いたので尚更だ、それでも普通の十代…。

「舞姫さま、お久しぶりです。」
「あ~、随分日焼けして、和馬さん、遊び回ってるんだ。」
「はは、遊びを兼ねた海外取材ですよ、はい、お土産。」
お土産はシルクのスカーフ。
「へ~、これは舞の時に小道具として使えるわね、清香さんが選んで下さったんだ。」
「えっ、分かるの?」
「分かりますよ、ほら香りがするでしょ、和馬さんじゃこれを選べないし。」
「えっ、そうかな…。」
「和馬さんは大切な人の香りも嗅ぎ分けられないの?」
「生憎、イヌ科イヌ属の生まれではないのでね。」
「はい、お手。」
「わん。」
「よろしい、ご褒美の飲み物は彼女に注文して下さいね。」

コーヒーを飲みながら。
「姫さまは今も盲学校に訪問されているのですか?」
「ええ、始めは視線を感じない環境が面白かったのだけど、発見が多くて楽しいのです。」
「どんな発見を?」
「歌ってる時と舞ってる時では私のパワーが全然違うと言われましてね。
舞っている時の感覚を入れて歌ってみたら喜んで貰えたのだけど、調子に乗って歌ってたら疲れてしまって、今はその辺りのバランスを研究中なんです。」
「舞も疲れすぎ無い様、コントロール出来ると良いね。」
「それは駄目、舞で手抜きは出来ません、長時間でなくても真剣に舞えば満足して頂けるのですよ。
でも、頑張って歌っても盲学校の生徒は見えない舞の方が沢山の力を感じると言うの、私って音痴なのかな。」
「それはないだろう、DVDの売れ行きは異常だがCDもしっかり売れてる、お小遣いの使い道に困っているのだろ?」
「困ってないですよ、会社を買収して再建するのに投資してますので。
後継者を見つけられないが従業員の為にも会社を存続させたい、といった社長からの問い合わせも結構ありましてね。」
「目指せ大企業なのか?」
「軸足を地方に置いた、中小企業を束ねる持ち株会社です。
思い切った設備投資をすれば、その見返りが大きかったのに踏み込めなかった、そんな企業が中心になります。」
「成程、舞姫さまの会社なら安心だな。」
「ふふ、自分がかなりインチキな存在だという自覚は有るのですよ。」
「インチキ?」
「株の取引でも何となく買った銘柄が大きく伸びたり、データ上は問題が無いのに手放したくなって全部売却したらすぐに不祥事発覚みたいな感じで、私に憑り付く神さまはお金が好きみたいね。」
「そうか、憑りつかれてたのか、自覚は有るの?」
「全然有りません。」
「では自分が神だという自覚は?」
「そんな自覚有る訳ないです、そもそも神なんて人間がでっち上げた存在ですよね。」
「う~ん…。」
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