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来日-09 [シトワイヤン-22]

万里をひどく疲れさせてしまったという反省を踏まえ、彼女をサポートする体制を強化することに智里が強く同意したのは今後の展開のことも有った。
キャッシーが作ろうとしている新しい町と万里は、大いなる実験のシンボル。
万里は…、万里は自らがシンボルとなることに戸惑っていたが、私達の目指していることは誰よりも理解している。
おそらく悩ませてしまったのだろうが受け入れてくれた。
サポートチームの結成に関しては、多くの利益をもたらしてくれた事に対する感謝の印であり、これから活動をステップアップさせて行く過程でのトラブルを事前に防いで行くためだと話し理解して貰った。
チームは日米連合。
メンバーになった者達は、それぞれ、下僕、家来、子分など勝手に名乗り始めている。
下準備を済ませたところで、アメリカのメンバーが来日、顔合わせとなった。
チーム名は舞姫騎士団。
結団式、主な役割とともに紹介されたメンバー達は全員、万里に忠誠を誓う。
それを静かな笑みと共に受ける万里は、愛華の用意した衣装によって、その美しさを更に際立たせ、溢れ出るオーラは家来達が跪く姿を自然なものに見せている。
人は平等ではない、跪く者と跪かれる者が存在し、それは人間社会に於いて自然なことなのかも知れないと感じさせる、誰も跪くことを強要していないのだ。
そして万里が語り始める。

『私達が取り組む多いなる実験について、ここでお話しする必要はないでしょう。
私を主君とされる方が見えるので有れば、私は主としてすべき事をしていくつもりです。
皆さんのお力が有れば、大いなる実験は大きな成果を上げられると信じています。』

万里は騎士団に守られる姫となったが、これからはネット上に展開して行くバーチャル王国の姫という設定も用意して有る。
王国の都はこれからリアルに建設される町、舞姫に忠誠を誓った作業員、万里の大ファンが測量を始めたそうだ。
リアルとバーチャルで、私達が理想と思える市民像を模索して行く。
多民族国家を中心に展開するという事で、大学一年生の頃にゲームとして行っていたバーチャル王国とは、全く違うものになるだろう。
多様な価値観から、我々にとって民度が高いと思える人の社会集団を生み出すことが出来るかどうか。
そんな実験は、万里という存在によって効率良く進むと考えてるが、本間市長は、万里の様な存在がいなければ不可能だと言う。
そうかも知れない、万里の様な人間離れした不思議な魅力に溢れる人は、私の知る限り存在しない。
彼女が世界にどんな影響を与えて行くのか楽しみであり、そのサポートの一人として身が引き締まる思いを噛みしめながら、舞姫親衛隊結団式を終えた。
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