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鹿丘小学校-10 [シトワイヤン-16]

休憩を挟み、映像や写真を使いながら学校のイベントを紹介し、撮影は終わった。

「絶対動揺したと思うのに結局、卒なくこなしてしまうのね、万里は。」
「もう、いきなり尊敬だなんて恥ずかしかったわ。」
「でも、司会とやりとりするより良かったよ、編集し易くなったんじゃないのかな、番組では愛華さんのフォローも入るからね。」
「真一、私達が万里の事が大好きなんだって上手く伝わったかしら。」
「伝わるだろう、で、ごめんな万里、びっくりさせて、でも、みんなの万里に対する尊敬の気持ちを多くの人に知って貰いたかったんだ、まあ、翔太がどさくさに紛れて愛の告白をしたのは想定外だったのだけどね。」
「そりゃそうだ、俺の台本にだって、ますます好きになってしまうなんて書いてなかったし、別にその男女の恋愛とかまだ解んない、付き合って下さいとかも良く分からないけど、でも、万里の事が大好きなのは本心なんだ。」
「おっ、男の子、格好良いわね。」
「あっ、愛華さん。」
「翔太君、万里ちゃんの事を好きな人はとても沢山いるのよ、頑張ってね。」
「は、はい。」
「まあ、万里に仇なす奴がいたら禁断の村八分だからな。」
「真一君、その、仇なすとか村八分とかって、普通の小学生は使わないと思うわよ。」
「そうですか、周りの大人達は普通に使っていますが。」
「そんなに大人と話す機会が多いの?」
「お祭りの練習や準備を一緒にして来ました、その時に世間話と言いますか。」
「その世間話には興味が有るわ、どんな話をしてるの?」
「学校の話が多いですが、苗川大改造の進捗についてや政治経済の話とか。」
「それを君は理解してるんだ。」
「理解出来てるかどうかは微妙ですが、大人達は感じて馴染むぐらいで良いと考えてるそうです。
そんな話でも万里はしっかり分かっていて、大人達曰く、鋭い質問を投げかけるのですよ。
それを聞いて僕らの理解が少し深まったりしています、難しい話を子どもを交えてすることは大人にとってもプラスになるのだそうです。」
「う~ん、大人と子どもが共に成長している、それが苗川なのかしら。」
「大人と言っても色々ですよ、僕たちが格好良いと思わないことを格好良いと思っている人もいますから。」
「どんな人?」
「自慢話が多過ぎて、でも、ちゃんと寄付とかして下さってるのです。」
「そんな人の話は適当に聞き流しているのよね?」
「楽しそうに聞いて差し上げてると、差し入れがレベルアップして行くんです、僕らは適度に交代で『聞き役』という立場を学んでいまして。
お祭りの準備が大変そうな日は、絵里達が担当して何時もより多めに皆さんが喜んでくれそうなものを一緒に買いに行ったりしています。
先輩からは予算的に助かっていると感謝されているのですよ。」
「ご本人を気持ち良くさせてサイフの紐を緩めさせているのなら問題ないか。
今年のお祭りは、去年以上の規模で大変なのよね。」
「僕らはそれ程でもなくて、小学生は五年生のスタッフがメインなのです。」
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