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鹿丘小学校-02 [シトワイヤン-16]

みんなが落ち着いた所で。

「転校生の皆さん、この学校には卒業した先輩達が作った裏の校則、約束事が有ります。
簡単か難しいかは皆さん次第ですが、簡単に言えば『格好の良い子どもになろう』。
勘違いして欲しくないのは外見の格好良さではなく人としての格好良さです、詳しくは帰り道にでも六年生から聞いて下さい。
今日のみんなは始業式もきちんと出来て恰好良かったです、明日は新一年生と一緒だから、みんな格好良いお姉さんお兄さんになって下さいね。」
「は~い。」
「では、工事中の所も多いですので転校生の人達が危なくない様にお願いします、また明日元気な笑顔を見せて下さい。」

今日は班毎の集団下校、先生方も見守って下さるが、転校生や低学年の面倒は私達新六年生の担当。
すぐに校門を出る班が有れば、自己紹介をしている班も有る。
それぞれの班長が、それぞれの事情に合わせて考えている。
私の班は…。

「うちらは家まで近いから、少し寄り道するよ。」
「絵里姉、どこ行くの?」
「出来立ての公園で自己紹介、うちらの班は転校生が多いでしょ。」

「万里さんは班長ではないんだね。」
「翔太君、役割はみんなで分担なの、絵里と真一なら間違いないわ。
役割分担については明日の学級会でね。」
「そうか、俺は何も分からないが。」
「翔太君は転校して来た六年生の中では、一番堂々と話せる人みたい。
だから転校生達のリーダーになってみんなが私達と馴染める様にお願いしたいのだけど、どう?」
「そうだな、転校生達は兄弟がいないとみんな孤独かも知れない、でも、転校生だけで固まっては駄目だよな。」
「ええ、みんなのお兄さんになってあげてね。」
「オッケイ、万里さんは頼れるお姉さんだそうだから、俺も頼られる様に頑張るよ。」
「えっ、誰がそんなことを?」
「斗真君だよ。」
「斗真か…、少し頼りないけど、仲良くしてあげてね不器用な所が有るけど悪い奴じゃないから。」
「ああ、クワガタ捕りに連れて行って貰わないと行けないし。」
「もうそこまで、東京の男の子はしっかりしてるのね。」
「はは、酷い奴も少なからずいるよ、俺が特別ということでもないけど、少し事情が有ってね。」
「自覚してるんだ。」
「兄貴にね、少しハンディが有ってさ、自分がしっかりしないと弟達がね。
ちなみに都会では四人兄弟なんてレアなんだよ。」
「へー、苗川は大家族でも安心して暮らせる町を目指しているけど、四人兄弟はそんなにないわよ、うちは高校生の姉とあそこでよたよた歩いてる妹の三人姉妹なの。」
「妹も可愛いね。」
「う、うん…。」

も、って言った、言ったぞ、さりげなく、これが東京の男の子か…。
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