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拡大-08 [シトワイヤン-13]

「和馬くん、君と会えて光栄だよ。」
「いえいえ、素敵な曲を党のイメージソングにして下さって有難う御座います、曲作りは大変だと思うのですが。」
「いや、テーマが有ると比較的楽なんだ、私は何もない所からテーマを見つけ出す作業が苦手でね。」
「そいうものですか。」
「今は、コラボや誰の曲が一番売れるのかに注目が集まっているが、まだまだ面白くして行くからな。
曲を発表している連中とは連絡を取り合い、党のイメージソングだけのライブを出来ないかとか相談しているんだよ。
参院選までは日が無くて大きいのは出来ないが、すでに決まってるライブにゲスト出演の形でイメージソングを歌って貰うとかもね、今まで接点の無かった人と党員繋がりで交流して行くのも面白いだろ。」
「そこまで考えていて下さるとは思ってなかったです。」
「我々も、政治に閉塞感を感じ続けて来たんだ、今の野党は問題外だが、与党を全面的に支持出来るかと言われたら、色々引っ掛かるだろ。
市民政党若葉が目立ち始めるまでは諦め気味で政治を見ていたのだが、まあ、党員になって答えを見つけた気がするのさ。
党内の議論は透明、他の野党の様に与党に反対するばかりではない、多くの人が党の原則に従って意見を出し合い、集約し法案を考えている。
苗川の様に党が主導しての再開発事業は他の市へも広がりそうで、内需の拡大に繋がる。
政治判断についてなどの党員教育も進んでいて、これなら政権交代しても安心だと思っているんだ。
で、党員の合言葉は自分に出来る事をする。
音楽やってる人間に出来る事は、音楽で人を動かすこと、連絡を取った若い連中も力になりたいと話してくれたよ、みんな気合の入った曲を出して来ているだろ、俺達は日本を変えたいと思っていたのだが、清香嬢が良い提案をしてくれたおかげで動き始めることが出来たんだよ。」
「自分達は何もしないで最大限の効果が期待出来る、そんな身勝手な提案でしたが。」
「はは、確かにな、それまでも党の応援をしたいとは思っていたが、党のイメージソングを作曲することは思い浮かばなかったんだよ。
これからは、We Are The Worldには遠く及ばなくても、日本のミュージシャンが結集して、例えば貧困問題と向き合うといった企画を十組のアーティストが集まってとかを、市民政党若葉の旗の下にやって行けたら良いと思ってるんだ。」
「今まで日本には無かったことですね。」
「ああ、日本人の意識改革を党でも考えているだろ、テレビ局がやってる怪しげなチャリティー番組を吹き飛ばしたいよ。」
「あっ、聞いた事が有ります、海外のチャリティーとは全く違うとか。」
「市民政党若葉同様、すべての収支をオープンにしたイベントをやってみたいと思っているんだ。
企画がまとまってきたら、和馬くんも見てくれな。」
「はい、慈善団体を装って活動していても、寄付金や助成金が組織の維持費、理事とかの給料に消えて、大した活動をしていない団体が有ると聞いた事が有ります。」
「慈善団体だけでなく、官僚主導で作られた団体は官僚の天下り先だったんだ、市民政党若葉が政権を握ったら、国から助成金の出てる所は全部確認して欲しいね。」
「私利私欲が見え隠れ…、ですが、政権を取るまでの道のりは厳しいかと。」
「ひとまず参院選の公示まではひたすら党の宣伝をすれば良いのだろ、立候補者個人の応援はタイミングを間違えるとまずいと聞いたし、知らない個人は応援しにくくも有る。
問題は…、なあ、衆参同日選挙は有ると思うか?」
「ええ…。」

衆参同日選挙の可能性は否定出来ず、党の幹部を悩ませている問題でもある。
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