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拡大-05 [シトワイヤン-13]

「本間さん、そういう話よりもっと市民政党のことを好きになれる話は有りませんか。」
こんな時、愛華は遠慮しない。
「そうだね…、愛華さん達は、本を出版するにあたって何か特別な思いとか有ったの?」
「はい、魅力ある政党を考えた時に市民と政党との関係を考えました。
政党は、政策や議会活動での正しさで評価されるべきだとしても、殆どの市民にとって政党は身近なものでは有りません。
もう少し政党を一般の皆さんに近付ける必要が有ると思うのです、その為には、政党という組織の魅力を政治以外の側面から高めても良いと思ったのです。」
「確かに一冊目はそれに成功したね。
大学生がどんな思いで政党を立ち上げ、それを大人達がどう受け止め拡大して来たかが良く分かった。
市民と政党の関係強化が目的、う~ん、私も市民政党のことを好きになって貰えそうな本のネタ、考えておくよ。」
「お願いします。」
「そう言えば、最近、市民政党の党員だと公言してくれる芸能人が増えたね、あれは和馬くんの差し金なのかな?」
「いえいえ、自分からお願いしたことは有りません。
ですが、彼らの一言は投票行動に影響を与えていると思います。
先日お話させて頂いた俳優は、他党だとイメージが悪くなるが、市民政党なら自分のイメージを損なわず、安心して応援できると話して下さいました。
彼が市民政党から何を感じたのか、ファンの方々も考え市民政党を共に応援する事で、市民政党を彼と共有する、という感覚に至ってくれたら嬉しいですね。」
「うん、このまま応援してくれる芸能人が増えたら、選挙運動はいらなくなりそうだ。」
「はは、そこまでは。」
「幅広い年代にファンを持つ歌手の影響力は大きいぞ、ね、清香さんもそう思うでしょ。」
「はい、大物ほど社会の事や国の事を考えて下さってると感じます。
Citoyenブランドのオーダーメイドを着て下さる方もみえますが、多分意識的にされてると。」
「そう言えば、Citoyenブランドの話は本に出て無かったね、大きな取り組みなのに。」
「儲かってる話は控えめにしようということで、党のサポートに過ぎませんし。」
「康太くんが頑張っているのだろ。」
「ええ、でも実際は愛華の母がデザイン系を取り仕切り、製造は清香父の所の子会社が取り仕切っていてくれてまして。
でなかったら統一地方選特需に対応出来なかったと思います。」
「成程、製造は大量生産なのかな。」
「バリエーションを用意という事も有りますが、Citoyenの製造は幾つもの工場に分散委託しています。
Citoyenスタートから直ぐに、品質重視、労働者の労働条件が悪くないことを前提に生産工場を募集しました。
高級品から普段着として着られるトレーナーまで、選挙特需を見越した契約を製造会社と交わしましたが、大都市圏から外れたところの業者を優先しています。」
「市民政党が躍進すれば地方の会社が潤うという構図なのか。」
「はい、今は参院選に向けて新作の製造に入ってるでしょう。」
「全て定価販売、利益の八割が販売仲介した党支部に入るのは大きいよ、市議会議員選挙でもお金の心配はいらなかったと聞いてる、だが、参議院選挙に向けて、本部の取り分を増やさなくて良いのか?」
「選挙で実際に動くのは地方支部ですし、本部へは本の印税の九割を回します、お金をばら撒く様な選挙をする訳では有りませんので何とかなりますよ。」
「そうだな、そんな事をしたら党の評判はがた落ちだ。」

それから話題は政治家の不祥事に。
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