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脱東京-09 [シトワイヤン-11]

苗川でのイベントは知事選を意識して、市民政党若葉を知って貰うという意味合いが有る。
そのイベントが盛り上がる中、知事選が告示され作田さんが立候補。

「作田さんは、党県連の副会長という立場で党の宣伝をしてこられましたが、これからは知事候補。
立候補は三名ですが、お一方は落選決定の様で事実上の一騎打ちです、和馬は作田さんが当選されると思いますか?」
「知事選を分析してるチームは互角と見ている、市民政党若葉の候補ならと投票して下さる方は増えているものの、高齢者中心に馴染の薄い政党の候補者を選ばない人も少なくないだろうとね。」
「Citoyenの行商チームが大きな売り上げを出してるから、もう少し有利かと思ってたわ、そうなると番組で宣伝出来ないのが残念ね、公平性に欠くから仕方無いのだけど。」
「代わりに知事選応援イベントで笑顔を振りまいてくれよ、番組を見てる人達は、俺達が苗川だけでなく県全体を応援してると分かって下さっていると思うんだ。」
「知事選は市町村の選挙とは規模が違います、効率良く応援出来るでしょうか?」
「そこはボランティア党員任せだが、誰でも無料で党員になれるという利点を活かして党員を増やしている、ネット環境の無い人向けの紙に書いて貰う党員登録、まあ党を支持しますという宣言でしかないのだが、それでも無理の無い拡大に繋がっていると思うよ。」
「紙での新規登録者はテレビで党の事を知った人でしょうね。
行商チームからは、地方支部が用意した会場へ新作野良着を買いに来て初めてCitoyenブランドが市民政党若葉のグッズだと知った人でも、その事に抵抗を感じる人はいないし、その場で党員登録する人も少なくないと報告に有ったわ、それなのに互角だとここから大変そうね。
今更、行商チームの増強は出来ないでしょ、商品の生産が間に合ってないし。」
「新作野良着はそんなに売れてるのか?」
「ええ、様々な工夫を凝らして有って、年齢に関係なく受け入れられているのよ。
企画した人の、田舎でもお洒落に暮らす、農作業にも潤いをというコンセプトが成功したみたいね。」
「確かに、ドライブしてても目にするな。」
「ゴキブリは1匹見つけたら100匹いるでしょ、そういうレベルなのよ。」
「その例えは他で使うなよ、でも、それだけ広まり始めてるということか。」
「色違いで二着目三着目とかね、サイズに工夫が有って普段Sサイズ着てる人がLサイズをお洒落に着こなすとか、女子高生の間でも広がってるのよ。」
「野良着が?」
「紐で調節しフォルムを変えられるタイプが人気、着心地の良さとファッション性を生み出していてね。
彼女達は田舎の文化として個性を出して広めたいと話していたわ、ひらひらした服で田圃道を歩きたいとは思わないし、お婆ちゃんと色違いをシェア出来るとこが面白いとか。」
「そこから知事選へ繋げて行けるのかな?」
「商品は、党のグッズだから、党の主張とか印刷したものを同封しているでしょ。
それが真面目に受け止められてるみたい、選挙権を得たばかりだという子達からも、市民政党若葉の候補に一票入れますと言って貰えてるの。
知事候補がどんな人物かは分からなくても、素敵なグッズを提供する党の候補というのは一つの判断材料になるのね。」
「そうだな、対立候補だって極悪非道な人ではない人間的にも優れた人だろうから、そんなレベルでも差を付けないと勝てないのだろうな。」
「弱気なの?」
「作田さんが知事になるのがこの県の再生には一番良いと思う、でも、万が一の場合、対立候補は政党の推薦は受けているが無所属、先々協力関係を築いて行くべきという一面が有って、それは作田さんも考えておられるんだ。」
「対立候補を誹謗中傷する様な選挙運動は一切禁止、の根拠なのですね。」
「理想は作田さんを知事に、対立候補の方には副知事などの要職について頂くことで県内の有権者を一つにまとめる、まあ簡単な事ではないだろうね。」
「県内に対立を生み出さす事無く…、でもトラブルの元にはなりそうです。」
「大差での勝利でない限り、何事につけ反対する人は出て来るだろう、その人達に納得して貰い効率の良い県政を進めて行く為なんだ。
圧勝出来たら気にする必要はないけど、対立候補と手を組めるのならそれが一番健全かも知れないだろ。」
「そうですね、そこまで考えて下さっている作田さんには是非当選して頂きたいです。」
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