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地方支部-09 [シトワイヤン-10]

『脱東京』と銘打った苗川市からの放送に先立ち、梅子姉さんと市内の居酒屋へ、本間市長の紹介だ。

「おお~、梅子姉さんがこんな店に来てくれるなんて感激だな。」
「おい、こんな店は無いだろ、今日はプライベートですか?」
「ええ。」
「だそうだ、みんな大人しくしてくれな。」
「は~い。」
「でも、明日からの企画を宣伝して下さるのなら写真は構わないわよ。」
「やった~『脱東京』ですよね、嬉しい企画です。
俺達党員は苗川を良くする運動を進めていて、綺麗な町を目指しているのですよ。」
「そこに空き家のリフォーム企画、このおっさんは仕事が増えて儲かってますから今日は奢らせましょう。」
「えっ、奢らせて貰えるのか?」
「俺も出すよ、何でも頼んで下さい。」
「そうね、私はビール、和馬は?」
「じゃあ…。」

居合わせた客は全員が市民政党若葉の党員、乾杯をする。

「梅子姉さん、手伝えることが有ったら言って下さい、というか手伝いたいです。」
「そうね、スタッフへの差し入れにお勧めの品とかを紹介して頂けますか。」
「知り合いの店と相談しましょう、費用はこちら持ちで構いません。」
「それは駄目、東京の人間が苗川でお金を使う事が番組の趣旨でも有るの、今日は特別に奢らせて差し上げますが。」
「やったー、自慢しよ。」
「もし宜しかったら、番組の為に使おうと思ったお金を、貧困対策とかに役立てるとかはどうです?」
「流石、和馬元代表ですね、党支部が出来て真っ先に取り組んでいる事です。
市長が交代して予算配分が変わって行きますから、日本一優しい市になって行きますよ。」
「行き過ぎると社会的弱者が流入して来て、困る事が起きるのでは有りませんか?」
「空き家が全部埋まるだけで良いじゃないですか、人が増えればお金が回ります。
空き家が埋まれば社会的弱者は越して来れなくなります。」
「成程、本間市長なら税収アップ策を色々お持ちだろうし何とかなるのですね。」
「和馬さんの『瀬田和馬が十万円で購入した土地』企画でも、経済効果が出始めているのですよ。
何もない土地を見に来る人が結構いまして、昼時は飲食店が賑わっています。
何にも無い所から村が出来上がって行く過程を見て行きたいという人とか、ログハウス企画の参加者も結構な人数来てると聞きました。」
「ログハウス企画は予想以上に盛り上がっていますからね、皆さんのお金と労力で、ログハウス村が完成しそうです。
ログハウス一軒を想定して始めたら、お金を出す人、建築に参加する人が続々と、キャンピングカーで生活しながらログハウスを建てるつもりの人もいるのですよ。」
「上下水道と共同トイレの整備が済んだら本格スタートだと聞きましたが、電気と通信の地中線化も順次進めて行くのですよね。」
「と思いますが、とっくに自分の手を離れていまして、自分の土地に関する事でも掴みきれてないのです。」
「それでも『瀬田和馬が十万円で購入した土地』としてアピールしてくれたことは大きいです。
同じことを企画したとしても、看板になる人物がいないと盛り上がりません。」
「その辺りも含めて、明日からの放送は、それぞれの企画がどの程度の影響をもたらすのか、実験的取り組みなのです。」
「分かってますって、応援しますよ。」
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