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夏休み-08 [シトワイヤン-08]

それからの旅行は予定通りとは行かなくなった。
議員名などは伏せられていたが、九月一日、党本部のスタートに合わせて地方議員が市民政党若葉の所属となると発表されたからだ。
取材依頼を多く受け、急遽記者会見を開くことになる。

「党の発起人であり、初代代表として、今回の発表はどう考えておられるのですか?」
「党を立ち上げた当初は地方自治に関して大きく意識していませんでしたが、党員の増加と共に市民政党若葉の可能性を地方議会の視点で捉え、更に発展的に考える声が増え、今回の発表に至りました。
バーチャル政党からリアルな政治団体になることの意味を今噛みしめている所です。」
「いきなり千人近くの議員を抱える政治団体となる訳ですが、発起人としての感想をお聞かせ願えますでしょうか?」
「そうですね、千人近い議員と言いましても地方議員は国内に三万人以上います。
これから、国政の野党議員の様にそれぞれの思惑で離合集散する様なことなく、与党の様に妥協できる所は妥協して大きくなり、力の有る政党になったら面白いと思っています。」
「人数の発表だけで具体的な氏名の発表はなされていませんが、何か問題が有るのですか?」
「一つは九月一日の党本部設立に合わせて発表したいからです。
そのタイミングで党の地方支部を誕生させるのですが、スムーズに行かない事情を抱える支部も存在します。
今まで、一つの市民団体が市議会を動かしてきた様な所は、そのまま市民政党若葉の地方支部に移行して貰うだけで問題有りません。
ですが複数が係わって地方支部を形成しようと試みている所も有り調整中なのです。
まだまだ市民政党若葉の一員として政治活動をして行きたいと言う声が届いている最中でも有りまして、公式には九月一日時点で地方支部として体制の整った所を公表させて頂きます。」
「まだ増えると考えて宜しいでしょうか?」
「はい、地方から国に要請したくても、ばらばらに動いていたのでは力になりません、ですが地方の抱える問題はどこも同じようなものです、それなら団結するに越した事はないと思いませんか。」
「国との関係を意識しているのですね、では、いずれ国会議員を擁立という事でしょうか?」
「有り得ない話ではないです。」
「それでは、国会議員が他党からの鞍替えするという話は無いのでしょうか?」
「自分達が市民政党若葉を立ち上げたのは、積極的に応援したくなる政党が無かったからです。
今後、市民政党若葉が魅力ある政治団体だと、国民の皆さんに思って頂けるまでに成長出来るとしたら、私どもの理念に賛同して下さる方は増えると思っています。」
「今は七人の市長に会うという企画の終盤だと思いますが、七人の市長はやはり市民政党若葉の展開に賛成されている方々だと考えて宜しいでしょうか?」
「素敵な方々ですので番組でも紹介させて頂いてます、番組では僅かな時間ですが、党のサイトで映像のロングバージョンを公開させて頂いてますので、是非ご覧ください。
私達は未確定の情報を広めるつもりは有りませんが、党員のみが閲覧できるサイトでは各地の事情を含め隠し事なく進めています、それが市民政党若葉の有り方ですので。」

この記者会見を境に、党内の動きをマスコミ各社が挙って報じることになる。
誰でも党員に成れる、今までも情報を隠して来た訳ではないのだ。
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