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近衛予備隊-296 [高校生バトル-72]

「ジェシカ、君の赴任先は日本からの教育実習生を多く引き受けてくれてるそうだが、彼らはどう?」
「全体的に教え過ぎる傾向が有る様に感じますが、積極的に子ども達と関わってくれるだけでなく、夜間に開いている大人の為の英語教室や観光客向け事業も手伝ってくれています。
 彼らにとっても観光客とコミュニケーションを取れる場を持つことは良い経験になるそうで、自身のスキルアップに繋がるからと熱心な人が多いです、中には異性目当ての純真な人もいますが…。」
「教え過ぎると言うのは?」
「自分で調べ考え発見する、私達は近衛予備隊でそう教えられ自習能力を身に付け、学習の楽しさを感じて来たのですが、彼らは答えを急ぎ過ぎるのです。
 それを指摘し話し合っているのですが、彼らは高校や大学受験に向けての学習過程で正解を早く導き出すことを求められて来た様で、価値観の相違かと思っていたのですが、何の為の教育なのか、何の為の学習なのかを考えこんでしまう人が少なくないです。」
「単純な話だがな。」
「はい、生活力を身に付け心豊かな大人に育つ為の環境を維持するのが私達の役目です。
 彼らは大学受験と言いますが、近衛予備隊から王国騎士団に進んだ私でも、受験することなく遠江大学で学ばせて貰っています。
 彼らにとっての大学は就職を有利にする為の場とか、では大学で何を学んで来たのか尋ねると英語だと答えるのですが、その英語力は大学で学習しているとは思えないレベルなのです…。」
「君は遠江大学で何を学習してるの?」
「児童心理学と発達心理学が中心ですが、そろそろ研究と呼べる領域に達したいと思っています。」
「現場から離れて自身の学習や研究に集中したいとか思わないの?」
「それは有りません、現場から離れて考察するのは効率が悪いです。」
「成程、しかし時間的な問題が有るだろ。」
「いえ、私にとって遠江大学のサイトにアクセスして学ぶのは娯楽ですから。
 近衛予備隊に入隊し、先輩方から沢山の発見へと導かれた頃の気持ちと変わっていません。
 日本からの英語教育実習生からは、大学を卒業する為に苦労する話しを聞きますが、遠江大学に卒業は有りませんからね。」
「遠江大学で沢山学び研究しても、日本では社会的に認められないそうだが、着実にスキルアップし、それを仕事に活かしている人が少しずつ増え始めてると聞いている。
 それでも遠江大学を活用し切れている人は少ないそうでね、実力以上にどの大学を卒業したかを尊重する風潮が有り、著名大学に入学出来れば難しい入試をクリアした人達だから能力は低くないと判断されるそうだよ。」
「そう言うものなのですか…。」
「まあ、優秀な人材を欲しがる企業のレベルも我が国とは違うからな。」
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