SSブログ

近衛予備隊-293 [高校生バトル-72]

「十六歳になった子達の進路はどうなってる?」
「学校に通い始めた時期が様々ですので、十六歳でもようやく読み書きが出来る様になった程度の子もいます。
 そんな子は農園の下働きをしながら学校に来てましたので、そのまま農園で働いていますが、こちらが用意している義務教育の内容を終えた訳では無いことを理解して、そのまま学校へ通ってる子もいます、大人向けの夜間部に変わって続けている子も。
 給食目当てだけの子もいますが、自分の生活を向上させたいと学習に取り組んでいます。」
「給食目当てでも良いのだよ、貧困対策が一つの目的だからな。」
「貧困層は農園の下働きでも、ジョン王子の指導により最低賃金が上がりましたので生活はマシになっていまして、みんな王子に感謝しています。」
「それでも生活環境が良くなってるとは言えないのだろ、もう少しレベルアップしたいのだがな。」
「確実に改革が進んでいると感じられますので、これから良くなって行くと思います。
 貧困層の出身でも、基本的な読み書きを英語で履修した子の中には、職業実習の現場で能力を認められ、そのまま就職した子もいます、実習を通してパソコンに慣れ、経理システム導入で苦労している大人達をサポートしたりとか。
 敢えて英語を選んだ子達は向上心が有り学習に前向きに取り組む子が多いです。」
「台数は少ないが学習用に導入したパソコンは役に立ったのかな、スペックの低さが気になっていたのだが。」
「高性能なパソコンを使いたかったら沢山学び、稼げる企業に就職し自分で買いなさいと教えています、彼らは素直ですので、その為にも英語力を上げようとしているのですよ。
 学校に配られたパソコンは、予算不足の所を大統領がポケットマネーで補って下さったと知っていますので、低スペックでも文句は言わないですけど。」
「だが、そう言った形で就職出来た子は僅かではないのか?」
「そうでもないです、経済が上向いていますので十四歳の子でも雇いたいみたいで。」
「大人を雇うより良い面が有るのかな、それに対する対応は?」
「推奨しているのは学校で学びながらの職場実習から仕事に慣れて行く形で、労働時間や給料の調整は国軍出身者が担当してくれています。」
「とにかく給食をスタートさせたくて…、国軍の連中は大変だったろうな。」
「算数や英語を教えるのは苦手でも、心優しい人ばかりで学校派遣の小隊を編成してくれたそうです。
 私の赴任してる学校だけでなく他の学校でも子ども達の為にと熱心に働いて下さっています。
 まずは給食と言うジョン王子のお考えが良かったのではないでしょうか。」
「そうだな、国軍に学校運営を託すなんて随分乱暴な手法だと自覚した上で進めて貰ったが、トラブルの報告が少なくて良かったよ。」
「ジョン王子からの、自分の子だと思って接して欲しい、との言葉を皆心に刻み込んでるそうです。
 ですから、安価な労働力としてしか子どもを見ない人達は真っ先に排除してくれています。
 彼らは実習農場や給食を中心に学校を支えていますが、子ども達とフットサルをしたり魚釣りに行ったりと、子どもの世界を広げてくれてると感じています。」
「そっか、予算の無い中での苦肉の策だったが、思ってたより悪くなかったのかな?」
「当初学校が男性ばかりだったのは問題でしたが、女性教員が増えたことで彼らのモチベーションが上がり、私達との教育に関する学習会も成果を上げています。」
「給料面の不満とかは聞いて無いか?」
「無いですよ、入隊した時には上がることを期待していなかった給料がジョン王子の指示でかなり上がったと聞いてます。」
「そうか…、もう少し高給でも良いと思うのだが、予算がな…。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。